星にいのりを-Revolution-

□プロローグ
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その後、葉君絡みで僕はこの辺一帯の不良頭である木刀の竜にボコボコにされた。クラスメートからはいい笑い種にされ、僕は激しい憤りと深い悲しみを感じた。
僕が信じてた友達は、こんなに僕を信じてくれない。それがあからさまに露呈されたようでショックだった。


そんな中で、唯一助けてくれたのは葉君。


「友達だから、助けるんだろ」


そう言って。
でも僕、この時は葉君を友達なんて思ってなかったんだけどなぁ…。

まぁそれはともかく、彼は僕の仇討ちをしてくれた。


シャーマンは霊と一体化し、『憑依合体』という技で霊が生前身に付けた技術や動きを、完全にこの世にトレースする正に『あの世とこの世を繋ぐ者』なのだ。

葉君は600年前の伝説の侍、阿弥陀丸を持霊とするらしい。そもそもの目的が、強い霊を味方につけて一人前のシャーマンになる修行のために上京してきたんだって。今時修行とか……って笑ってしまったけど。
阿弥陀丸は親友の刀鍛冶・喪助との約束を果たせなかった心残りで地縛霊になっていたんだけど、葉君が彼にその約束を果たさせてあげた。阿弥陀丸は葉君に恩義を感じ、晴れて持霊となったのだ。

葉君は不思議だ。
まだ上手く言えないけれど、彼がつなぎ止めているのは『あの世とこの世』だけではないような気がする。
葉君が見つめる視線の先にあるもの。
僕はそれを見てみたい。
彼と一緒に居なきゃ知れない世界を、見てみたい。



これが僕らの、魂を廻る旅のはじまり。

僕と葉君が『彼女』と知り合ったのは、阿弥陀丸が持霊となった三日後の事だった。



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