舞遊

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私達の人口は

一億という壁を

いとも簡単に

乗り越えていた。


人が知る言葉は

少なからずも

一つだけではない。


だから例えば

世界にある言葉が

人の数以上あるとするなら

それはすでに

六億を越えているのかもしれない。


その内の

私が知る言葉が

僅かに百だとするならば

全ての言葉を知ることは

遥かに遠くて

困難だろう。


あなたが知る言葉は

私の二倍の

二百だとして

あの人の知る言葉が

百五十だとしよう。


どちらにせよ

六億どころか

一億さえ

ほど遠いね。


だけれど

私とあなたと

あの人を足したら

四百五十になるんだ。


勿論

未だ一億にすら

手は届かなくとも

私達にとっては

大きな前進だ。


私とあなたとあの人が

あの子と出会って

あの子にも

友達がいて。


その友達にも

友達がいて…

その全ての人の

知っている言葉の数を

足したなら

上手くいけば

一億は越えられるかも

しれないね。


その内の誰か一人が

僅かに六十の言葉しか

知らなくとも

それが私達の知らない

六十ならば

例え数は小さくとも

大きな価値がある。


そう、

知っている言葉

出し合って

足してゆくんだ。


引いたらいけないよ?


引くという作業は

失ってゆくことしか出来ないから。


…私の知る言葉は

二千になった。


足して足して

たまに掛けて

結び合わせて

繋ぎとめて

最高の詩を

作り上げゆくのさ。
 

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