日差しは暖かく、春先のまだ少し冷たい風が吹く、そんな穏やかな午後。


沖田は欠伸を噛み殺しつつ巡回をサボる為に公園へと向かっていた。

今日の天気はまさに昼寝日和と言っていいくらいの快晴だ。

こんな日に仕事なんてやってられない。

ゆっくりと歩みを進めていると、

背後から殺気。

振り向くと胡散臭い笑みを浮かべた男が立っていた。
歳は自分と同じくらいか。
見ない顔だったが桃色の髪や白い肌、服装や番傘を持つその姿はいつも喧嘩する、あいつを思い出させた。

「ねぇ君、沖田君?」

「誰だィ、あんた」

どうして俺の名前を知っているんだ。

見たことが無いと思ったのは俺の勘違いだったのか。

もしかしたらこの間土方さんに向かって放ったバズーカの犠牲者かも。

「君さぁ、もう神楽に近付かないでれる」

「は?」 

何なんだこいつは。

てか俺の質問に答えろコノヤロー。

「あんた、チャイナの知り合いかィ?」

「君には関係ないよ」

・・・・上等だ。

ことごとく人の質問を無視しやがって。

「なら、俺がチャイナに何したってあんたにも関係ないぜィ?」

張り付いていた笑みが一瞬崩れた気がした。

「・・・ふーん、
悪いけど俺気が長いほうじゃないんだ。」

殺しちゃうぞ?

「は、返り打ちにしてやらァ」

互いに武器を構える。

高まる緊張感。

突き付けられる様な純粋な殺気。

穏やかな時間など
最早欠片も残っていなかった。

「神威!」

耳に入ってきたのは聞きなれたソプラノ声。

瞬間、あの痛いくらいの空気が緩んだ。

「どこ行ってたアルか。
探したのヨ?」

ん・・・神威?

「おい、チャイナ」

声を掛けるとチャイナは途端に顔をしかめた。

「げ、サド!」

「随分な挨拶じゃねぇかィ」
「ふん、事実だロ」

確かに、それは認める。

「それよりあいつ何者でィ」

俺がそいつを見て言うとチャイナは納得したように口を開いた。

「神威は私の兄貴アル」

「・・・兄貴?」

確かに改めて見るとなるほど、頷ける。

「神楽」

やけに低い声がチャイナを呼ぶ。

「どうしたアルか?」

急に兄に呼ばれた事に首を傾げて返事をするチャイナの腕をそいつが掴んだ。

「もう帰ろう。
俺を呼びに来たんでしょ?」

有無を言わさない雰囲気でチャイナを引っ張っていく。

「じゃあね、沖田君」

顔は笑っていたのに、物凄い殺気を向けられたのはきっと気のせいじゃない。

「また、会いやしょう」

お兄さん

口角を上げて返してやれば、眉がピクリと跳ねたが不思議そうに俺達を見上げるチャイナを連れて、姿を消した。

















帰路を歩きながら先程の2人に思いを馳せる。

まさかチャイナに兄貴がいたなんて。

それも重度のシスコンらしい。

けど、所詮は血の繋がった兄と妹という関係だ。

俺がチャイナと何を話そうが邪魔されたくない。








これから大変な日が続きそうだ。
(譲る気はさらさら無いけど)





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