からすあげはの散歩道
□《もう一つの輪廻》
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私がさっきまでいた場所に緩やかな陽射しが落ちてきた
私がさっきまでいた場所に穏やかな海風が流れこんだ
地面にはいつくばって背伸びして薄れてゆく私という名のものの影
やがて闇夜が訪れて黒猫の瞳だけが金色の光を取り戻す
消えてしまった影はまた昨日とは真逆に生まれ
確かな秒針と不確かな定めのなかを
逃れるように歩きはじめる
太陽を嘲笑うかのように
雑草の茂みの奥で黒猫の瞳が金色に輝く
闇にのまれてゆくように
影がまた大きくなってゆく
また緩やかな陽射しが降り注ぎ
海風が通り過ぎてゆく