からすあげはの散歩道

□烏揚羽
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[烏揚羽]

少年の頃.

夢の中まで追い続けた烏揚羽が人通りの多いスーパーの通路で死んでいた


あまりにも綺麗すぎる死に様に僕はその場から動けなかった


衝動を抑えることをせずに僕は屍を掌にのせた


動かなくなった少年の頃の憧れ

烏揚羽が今
僕の掌の上にいる

何かの間違いで紛れ込んで  そのまま力尽きたのだろう

いや、眠っているのかもしれない 


羽の先まで綺麗な烏揚羽が僕の掌の上にいる


僕は記憶を繋ぎ止めたくて屍をコピー機にのせた


何枚も何枚も何枚も何枚も…

僕は複写した


再び掌にそっと
渇きはじめた烏揚羽をのせ外へ飛び出した


いつもの青空はいつもより青く そこには見たことのない螺旋を描く雲の群れが浮かんでいた


そっと雑草に屍を絡めて 僕は部屋へと戻った


やはり 追い続けた青空に舞う烏揚羽がいいと素直に思った


冷たいテーブルの上には 今にも飛んでいきそうな烏揚羽の面影が乱雑にひろがっていた


きっと僕の心の中で高く飛び続けるのだろう


もう戻れない少年の頃のように…


憧れのままで

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