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□お前だけ/後編
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俺は今ヒナタと別れた後、家に帰り台所の机に突っ伏している。



俺が1日中考えていた問題は無事…(多分)解決した。


だが俺の気持ちはやっぱり晴れない。


今度はあげる方じゃねぇ。
…………貰う方だ。



机に突っ伏したままボーッとしていると皿洗いをしていた姉ちゃんに声をかけられた。




「キバ〜あんた今日、任務だったんでしょ?」


ん〜…と声にならない返事をする。



「んで?んで?チョコは貰った?」



ピクリ…



ニヤニヤしながら聞いてくる姉ちゃんに少しだけ顔をあげて睨みをきかせてやった。
そしたらその何十倍もの怖さで睨み返られた。






「………別に………」



「あっれ〜…何よ。つまんないわね。」



「へーへー。つまんなくてわるーござんした。」



そっぽを向いた俺を見て姉ちゃんはため息をついた。



「しょーがないわね。はい、これ。」



姉ちゃんは冷蔵庫から一つバットを出してきた。



「……ラッピングなしかよ………」


「文句言うならやんないわよ。」



それでもカタンと机に置いたバットには四角に切られた生チョコが入っていた。



一つ摘まんで口の中に入れた。



「………」


「どう?おいしいでしょ。今回は去年より更に自信作!」



姉ちゃんの元気な声を聞きながら俺はモグモグ口を動かした。




すっと広がるチョコの甘い味と匂い。




俺はあの時ヒナタから匂ったチョコの甘い匂いを思い出してまた暗くなってしまった。



「ちょっと何よ。そんなに暗くなって…………………何、もしかしてそんなにチョコ欲しい子がいたの?」



「別に………」



そんなんじゃねぇ。そんなんじゃねぇ。






…………でもやっぱり、少し欲しかったかも………


あのまま仲良くやってたら義理チョコでもくれたかもしんねぇ…………



って…



俺は本命を期待してたのか…?
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