小説

□君*
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「そりゃ、唄い始めた時から。
びっくりするじゃん、こんな時間に」
ちょっと頭を掻くサトシ。
膝で眠っているピカチュウを起こさないよいに座り方を変える。

「で、誰の事?」

サトシの射抜くような視線が痛い。

数分の沈黙、



そして…





「ごめん、言いたくないならいいよ。」


サトシの優しい言葉。
思わず、ドクン…と自分の鼓動が強くなる。
あぁ、サトシは優しい…



「…トシの事…」

「…え?」

「サ、サトシの事よっ!!どう!?これで満足!!?」
思わずケンカ口調になってしまうカスミ。
こんなにロマンチックな中でも素直になれない、
ケンカごしになってしまう自分に怒りと後悔を感じ、涙が滲んでしまうカスミ。



「うん。…すっげー嬉しい。」
サトシの返答に、見つめ合うふたり。

「…ほん「ほんとに。」
カスミの問い掛けよりも早く答えるサトシ。

「俺…さっき、カスミが俺に着いて来てくれるって言った時、すっごく嬉しかった。
…ありがとな」

サトシの言葉に涙が溢れてくる。



ほんとにサトシについてきてよかった…


サトシを好きになってよかった…



色々な想いが混じり合って、カスミの心は解けていく。

きっとサトシも同じだろう。

ふたりは煌めく何十億もの星の元、
広大な海の上で優しく微笑みあっていた…






end
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