小説
□君*
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「そっか、私、サトシの事…」
やっぱり好きになってた。
最初はちょっと自分の気持ちに戸惑って、サトシに対して辛くあたっていたかもしれない。
でも、今回の事でよく、わかった。
だーい好きなんだ…
つい、横で気持ち良さそうに眠っているサトシを見てしまう。
月明りに照らされたサトシの顔は、なんだかいつもより、とても格好良く見えた。
温かい月の光に照らされ、心地よい風に包まれ、静かな波が水面に揺れ、ラプラスはゆっくりとカスミ達を運んでいる。
思わずカスミは唄っていた。
*
曇り空でも 凍えそうでも
君の笑顔が あればへっちゃらだよ
泣きたい時も 永い夜でも
君の優しい 声が聞こえるから
星を数えて どこまでも行こう
涙拭いたら ランララララ
スピードあげて ランララララ
ラプラスに乗って 探しに行こう!
誰も知らない 物語の続き
ラプラスに乗って 探しに行こう!
生まれたばかりの 今日が始まる
ランランランララ ランランランララ
ランランランララ ランランランララ
∵・∴・★
キラキラ光っている水面を見ながら。ゆっくり唄った歌詞が、カスミに今までの旅の記憶を甦らせる。
と、
「なぁ、その『君』って誰の事?」
!!?
振り返ると、サトシが起きていて。
カスミの瞳を真直ぐ見据えて問い掛けてきた。
「サ、サトシ!??」
思わず、少し後退するカスミ。
「ちょっ…いつから…?」
恥かしさを感じながら、カスミはやっとの事で聞く。