TOV
□欲求不満も程々に
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流石、親友。
何もかもバレバレだ。
僅かに顔を赤くしながら風呂場までの道のりを歩く。
確かに久々に訪れた休みだった。
ここの所ずっと戦闘続きで全然身体を休める日がなかったのだ。
温泉に入りたい!!と訴え始めた女性陣に押し切られる形でユウマンジュまで来たのだった。
戦闘が続く時は大体テントを張っての野宿が多いため、もちろん恋人が傍にいようがちょめちょめ、なんて事はもっての他だ。
とか言いながらもフレンもまだまだ若い。何度か一人で処理したりはしたが、結局性欲は溜まる一方だった。
なのに・・・。
れ、レイヴンさんが一人で入っているなんて・・・・・・。
暴走しないとは自分でも言い切れなかった。
脱衣所には確かにいつもの紫の服と替えの白いタンクトップが籠の中には置いてあった。
自分の荷物もその横に置き、服を脱ぎ出す。
が・・・。
っちょ!!どれだけ期待してるんだよ僕は!!!
既に下着を脱ぐ前から反応している己自身に盛大に突っ込んだ。
そしてとりあえず、手拭いで隠しながらも、何かもよく分からない気合いを一つ入れ、風呂場の扉を開けた。
「あらー、フレンちゃん、今から?」
「は、はい、お寛ぎのところお邪魔して申し訳ありません。失礼します」
「そんな、お邪魔だなんて。お勤めご苦労様ね〜。おっさん、背中流してあげよっか?」
「い、いえっ、大丈夫です。とりあえず軽く洗いたいので、そちらの方には後で行きます・・・・・・って、飲まれてるんですか!?」
視線が合わせ辛かったので、ずっとレイヴンの方を見ないようにしていたのだが、やはり気になって振り向いてみると。
タオルで肩までつく髪を結いあげて、一人酌をしながら頬を染めている男が上機嫌で笑っていた。
もうその笑顔だけで天に昇れそうです!!・・・・・・じゃなくてっ!!!
「いつからお飲みになってらっしゃるんですか!ていうか、いつからお入りになってるんですか!?のぼせてしまうじゃないですか!!」
「んも〜、フレンちゃん、固い〜。そんなにつかってないし、飲み過ぎてもないわよぅ。たまに湯から上がって休憩もしてるし」
なんだかね、飲みたい気分になっちゃって・・・。
なんて少し切ない顔で言われてしまってはフレンにも何も言えなかった。
彼の恋人の座をもぎ取ったのは少し前で。それまで彼にはずっとずっと長い間恋人が居て。
その人はもうこの世には居なくて。
フレンも彼自身もその時の惨状を目の前で見ていて。
それ以上、何も考えたくなくて、フレンは頭から熱い湯をかぶった。