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□いつもと違う君
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校門前で車を降りてすぐ。

「景ちゃーん!!」



運転手が自分の降車側のドアを閉める音を聞きながら、跡部が後ろを振り返ると走ってきたのは忍足だった。

跡部は一礼する運転手に手を降って答え、横に並んだ忍足と一緒に校門をくぐる。

「おはようさん」

「ああ」


軽い挨拶を交わしながら部室に向かう間、なんだか忍足からの視線が気になった。

「・・・なんだよ?」

「へ?」

「なんかジロジロ見られてる気がすんだけど」

「あ、バレてしもた?」


跡部のきつい視線等全く気にならないのか、忍足はデレっという擬音が聞こえてきそうな程、崩れきった笑顔になった。


マトモな顔してりゃ相当格好いいのに。

とは跡部が忍足に対していつも思っている事である。

しかしそれを言ったが最後、この男が付け上がる事間違いなし、口が裂けても言うまいと思っているのであった。



「今日から衣替えで半袖になったやん?久々に見る景ちゃんの夏服姿に見とれててん」

「はあ?ユニフォームでいつも見てんだろ」

「分かってへんなぁ。見慣れたユニフォームやなしに制服の半袖、っていうのがポイントなんやん!!いつも隠れてた綺麗な腕が見えたりとかな。ちょい薄なった生地に透けて見える肌とか!」

「変態」


冷たく言い放ってから、跡部はそういうもんだろうか、と力説する忍足をちらりと見た。
彼の半袖姿だって目にするのは久しぶりなのだ。

自分だっていつもと違う忍足の姿にときめいたり・・・。

「あ!だからってユニフォーム姿の景ちゃんがいまいちとかゆうてるんちゃうよ!景ちゃんは何着ても可愛えし、いやむしろなんも着んでもめちゃくちゃ可愛えし!!つーか何着ててもそれを剥いていくんがめっちゃ燃える訳やけど!」


・・・駄目だ、全然浸れねぇ・・・・・・。

そしてこの恥ずかしい奴をどうにかしてくれ・・・。



溜息をついた跡部は熱弁する忍足と距離をとる為、歩く速度を早めた。

気づいた忍足も跡部を追う。

「あ、ちょっと、けぇちゃん!待ってぇな!」

「うるせぇ!着いてくんな!!」

「向かってる先一緒なんやからそら無理やろ!」

「変態と一緒に歩く気はねぇ!」

「その変態が好きな癖に!」

「ちげぇよ!大いなる勘違いだろ!」







「朝っぱらからやってるぞ・・・」

部室の外で大声で繰り広げられている痴話喧嘩を聞きながら宍戸がロッカーをパタンと閉めた。


「ただでさえ暑いってのに・・・」

うんざりとした顔でユニフォームに袖を通しているのは向日だ。


「さ、先にコート行って練習始めます?」

「その方がいいかも〜。巻き込まれたらたまんないC〜」

鳳の言葉に同意したジローが眠そうに答えた。



「「賛成〜」」

満場一致でレギュラー陣は非難を開始した。

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