TOV

□欲求不満も程々に
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専用の鍵を使って部屋に入る。

内扉用になっている襖を開ければ、畳の上に敷き詰められた布団で寝入ってしまっているカロルが見えた。


「おう、やっとお帰りか」

和室部屋の脇に寄せた机の上で茶を啜っていたユーリが振り返った。

「ああ、まあ、今日の所はね」

フレンがごちゃごちゃと騎士服を外すのを見やりながら、ユーリはアップルグミを投げて寄こす。

レイヴンが女湯を覗き見しないように見張りをして、自分の剣の鍛錬も怠らない、最後に再度、この周辺に何事もないかの見回り。

自分でも仕事に忠実過ぎて笑ってしまうが、身についた生活スタイルはそうそう簡単に変えられそうにもなかった。

「お前、ここに何しに来てんのかちゃんと分かってんのか?休息に来てんだぞ、休息。訓練して体力消耗させてどうする」

面倒くさそうに言いながらも自分の心配をさせていると分かっているからこそ、フレンもありがたく受け取ったグミを口にした。

「分かってるよ。だからこそ、今から癒されに行ってくるんだ」

「おっさん、今、一人で入ってんぞ」


ぐ・・・と、着替えを持つフレンの手が震えた。

「そ、そうかい・・・」

緊張した面持ちでそのまま襖を閉めたフレンにユーリの言葉が内扉越しにちくりと釘を刺す。

「溜まってるかもしんねーけど、ほどほどにな。あんま帰り遅せーと俺もマジ寝るから」

「いっそそっちの方が顔が合わせ辛くなくて僕は嬉しいんだけど」

「あーそっ。じゃ、ごゆっくり〜」


という具合で部屋を後にした。
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