戦国無双2

□お守りします!
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また思い悩んでいるのではあるまいか。
主と兼続の間で何かあったと小耳に挟んで心配になり、足はすぐにも彼の部屋へと向いた。
「殿」
「左近、か?」
「はい、一寸いいですか?」
「・・・構わん。入れ」
失礼します、という声と共に左近は襖を開けた。
今にも泣きそうな三成の顔を見て、左近はああやっぱり・・・と小さな溜息を洩らす。
兼続が息まいて三成を探していた、と聞いた時には利休の件であろうと想像がついた。
仮にも本人やその娘にまで大層世話になった兼続が、この事に腹を立てない筈がない。
そして分かっているからこそ、我が主はその怒りを正面から受け止めているであろう事も。
「なんて顔してるんです・・・」
左近は頼りなく揺れる瞳を見つめ、頬に手を滑らせた。
「だって・・・だって・・・・・・」
「ほら、泣かない泣かない」
そのまま泣きだし、抱きついてくる三成の背をあやすように撫でながら、左近は優しい声音で尋ねる。
「利休殿の事、殿は後悔してるんですか?」
「してはおらぬ・・・ひ、必要な事で・・・あった、と・・・」
しゃくりあげながら懸命に話す三成の頭を撫でて、左近は目を合わせた。
「じゃあ、もう泣かないでくださいよ。直江殿もきっと分かってくれますから。それに殿には左近がいるでしょう」
ちゅ、と触れるだけのキスをしてみれば、三成の涙の味。
「ほらほら、鼻かんで」
懐から柔紙を取り出し、三成の鼻に当てた。
涙は止まったが、三成はしばらくの間、鼻を啜りながら左近の膝の上で過ごした。
「・・・左近・・・・・・」
ひしと身体を離そうとしないながらも、漸く発した三成の声はまだ鼻声で。
「はいはい?」
「いつもすまない・・・」
滅多に聞けない主の殊勝な言葉に、左近は小さな笑みを零した。
「いいえ。これも左近の勤めですからなぁ」
傷つきやすく、他人に本心を明かせない、甘える事も出来ない不器用な主を守っていくのは自分の役目だから。
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