戦国無双2

□お守りします!
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「殿、そろそろお休みになった方がいいのでは?」
夜も更けたというのに、相変わらず三成の私室の灯りは付いたままだった。
ここのところ、それでなくても色んなストレスを溜め込んでいるに違いないというのに。
声をかけてはみたが、全く返事がない。
「殿?」
心配になった左近が襖を開けてみれば。
筆を持ったまま、文机に突っ伏した主の姿。
どうやら限界まで無理をした結果のようだ。
静かに寝息を立てている彼を起こさぬ様に、頬に落ちた赤茶の毛を掬い上げる。
いつもの通り綺麗な寝顔であったが、眉間の小さな皺と薄い隈を見て、左近は苦い表情をした。いつからだったろうか、こんなに顔色が優れなくなったのは。
細く華奢な身体で。
傷つきやすい心で。
豊臣の繁栄をひたすらに願う主は、全ての悪意をたった一人で受け止めている。
そして、自分達石田家家臣だけはそんな彼を支えていきたいと、彼の為に尽くしたいと、皆がそう思っている。
守りたい・・・。
だから。
早くいつもの殿に戻ってくれますように。

床の準備をしている音で起こしてしまった。
「・・・・・・左近?」
「すみません、静かにやろうと思ったんですが」
「よい・・・すまぬ、いつの間にやら眠ってしまっていた」
可愛らしく目を擦りながら布団に寄って来た三成を寝かせ、左近も同じ様に身を滑り込ませた。
「な、なんだ・・・」
恥ずかしそうに見上げる三成の手を左近はぎゅっと握った。
「今宵は殿がゆっくり眠れるよう、左近がずっと傍にいます」
「左近・・・」
驚いた瞳が大きく開かれる。
頭を撫でながら左近は三成の額に口付けた。
「おやすみなさい、殿」
「ああ、おやすみ。左近」
ふわりと小さく微笑んで、三成は目を瞑った。
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