腐れ縁好きさんに10のお題

□背中を預けられるのは
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フリックは自室に戻っていた。
この砦に来て、それなりに時間も経つ。隊長と副隊長としてうまくやれていると思う。
解放軍時代はどうしても信用できなくて、どうしても許せなくて…。そんな時が確かにあった筈なのに。
それなのにいつの間にか相棒、と呼べる中にさえなってしまった。…それ以上にも。
浮気をするななんて、今更女みたいな事を言うつもりはない。
フリックは男だし、関係が出来てしまった今でもビクトールの隣に相棒として立っていたいのだ。
でも…昼にビクトールに抱きしめられた時……。
フリックは唇を強く噛んだ。
「フリック、いるか?」
遠慮がちに扉の外から聞こえた声に我に返る。
「その…入っていいか?」
黙り込んでいるとまた声をかけられた。
溜息をついてフリックは重い腰を上げる。どうせいつまでもこのままでいる事等出来ないのだ。
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