Tales
□嘘だと言って
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「……な、んで」
なんで
「…どうし、て」
どうして
「帝国騎士団隊長首席、シュヴァーン・オルトレイン参る」
そう言って剣の先をこちらに向ける男、シュヴァーン。
「…信じ、てたのにっ」
あたしは言葉を吐き出すだけで精一杯だった。
体中が震え、眼には涙が溢れ視界が歪んでまともに前をみることができない。
「…冗談、じゃ済まさねえぞ、おっさんっ…!」
ユーリは顔を怒らせてシュヴァーン…レイヴンと剣を交えている。
何回も、剣と剣がぶつかる音がする。
「リタッ!魔術を…!」
ユーリはレイヴンの剣を受け止めながらあたしにいう。
けど、無理よ…できるわけ、ないじゃない…
「……リタッ!!」
ユーリはあたしの名前を呼ぶがあたしは何もしなかった。できなかった。
次第にあたしは体中の力がなくなり、ぺたんと地面に座り込んだ。
「―――リタ?」
その様子をみたジュディスはあたしのとこに駆け寄ってくる。
嘘よ…
信じたくない…
これはきっと、悪い夢よ
「くっそ…!おっさん…後でちゃんとケジメとってもらうぜっ…!!」
再び剣のぶつかる音。その音が神殿の中に響く。
だれでもいい、だれか
おねがい
嘘だと言って――?