Tales

□チョコより君
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「ねえねえ青年ー」

「なんだよおっさん」

「青年はもう買ったの?」


「?…なにを?」

「なにって……青年知らないの?」


「……だからなにを?」



「3月14日…今日はホワイトデーよ?」















チョコより君















「やべぇ……知らなかった」


おっさんとカロルはさっき買ってきたらしい。



くっそ〜…それだったら俺も呼べよな。


しかしここで悔やんでてもしょうがない。



「さて、どうすっか…」


もしかしたらまだ残ってるかもしれない。とりあえず店に行ってみるか。










「とりあえず2個は買えたけどなぁ…」


運よく2個だけ残ってて買ったものの、あと1個足りない。

俺たちのパーティーは女3人だからどうしても1個だけ足りない。



「さて、どうすっかなぁ…」









「お、青年お帰り〜」

「遅かったね、ユーリ」


「……であったの?」

「まぁな」


「どうしたのユーリ。元気ないよ」


「…なんでもねーよ。それよりリタどこに居るか知らねぇ?」

「リタ……?」


「エステルとジュディには渡したんだけどリタが居ねーんだよ」


「リタっちなら部屋で魔導書読んでるわよ」

「部屋か…そっか、サンキュー」


軽く礼を言ってリタの部屋に向かった。







「リター居るかー?」


ノックをせずに静かに扉を開ける。あたりは静かだった。


「居ねぇ……のか?」


部屋の中を見渡すとベットにリタの姿があった。



「なんだ…居るんだったら返事くらいしろよな」


ため息ひとつしてリタの方向へ歩み寄っていく。



「リタ一……ってなんだ…寝てんのかよ」

リタはすーすーと寝息をたてて眠っていた。

その隣に腰掛けてリタをみやる。


「………可愛い」


寝顔がとても愛らしい。なんだかんだいってリタもまだ子供だからな。



ふと隣をみれば魔導書が置いてある。魔導書を手にとってぱらぱら開いてみれば隅から隅まで字で埋め尽くされている。


「さがの天才魔導師様もお疲れか」

パタンと魔導書を閉じてもとあった場所に置き、またリタの顔をみる。


「(……やっぱ可愛い)」

思わず手を伸ばしてリタの髪に触れる。

柔らかくてサラサラした髪。軽く押せば髪が俺を受け入れるように溶け込んでいく。


次第にその手も頬へと移動する。柔らかくぷにぷにしている頬。




そうしてるうちにリタはゆっくりと瞳を開いた。
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