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□聖なる日の過ごし方〜恋人はサンタクロース〜
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「大体っスよ、クリスマス商戦なんて一月以上も前からが当たり前なんスから、アタシ達だってそれに習うべきじゃありません?」
「……それじゃクリスマスの意味ねーじゃん…。当日貰うから良いんじゃねえか」
「だってそれじゃ効率悪いっスよ。せめて半月前から、さっさと配っちゃえば、人件費削減になると思いません?」
「だからそれじゃ夢が無いだろ…」
「えぇ〜、タダで貰えるんスから、その辺には目をつむって…

「…っどうでも良いからっ口じゃ無く手を動かせっっ!!まだ最終チェック終わってねぇんだぞっっ?間に合わなかったらどうすんだっっ!?」

」「……はい…スミマセン…」


山の様に積み重なった品物を地区毎に仕分け、中身と配達先に間違いが無いか確かめる。
それから更に配達ルートを設定し、きちんと夜中に配送し終えるどうかの最終調整に入る。場合に寄っては他地区のヘルプにも回らないといけないし(逆にこっちが助けて貰う事も有る)、本当にこの日は目が回る程忙しい。だらだらとおしゃべりなんてしている暇はないのだ。
本来この作業は、もっと早くに済んでる筈なんだけどなぁ。他の地域の担当者は俺が知る限り、皆少なくとも前日には完了してるんだけど。
それを浦原さんの場合、俺がここに二日間泊まり込みで手伝い、それでようやく間に合うと言った状態なのだから、今までこんなんで良く間に合っていたなと呆れるを通り越して感心する。
どちらにしろ、時間は待ってはくれない。
とにかくひたすら黙々と。転送されて来たリストと品物をチェックする。
「…何とか間に合いそうだな。だからもう少し早くから、進めておけって言っただろ。浦原さんこの仕事長いんじゃ無いのか?」
「まぁ、そうなんですけどぉ」
「恋次だって呆れた様にこっち見てんじゃん。…悪いな、恋次。ごった返していて酷いだろ?此処」
品物で狭くなってしまった部屋の端、ソファの上で手持ちぶたさに待っている相手に声を掛ける。
相手はとんでも無いと言う様にふるふる首を振っているが、実際彼の出番は夜になってからなので今ははっきり言って暇なのだ。
「もうちょっと落ち着いたらブラッシングするからさ、後少し待っててくれよな」
「…一護サン酷い」
横で最終チェック済の品物を積み上げていた浦原さんが、恨めしそうな声を漏らす。
「アタシも一護サンに、優しく撫で撫でして貰いたいっス」
「…寝言ほざいてないで、さっさと…」
「何でせっかくのクリスマスイブの日に、朝からこんな忙しくしてなきゃいけないんスかねぇ」
あ〜面倒くさい。未だ寝癖の取れない、好き勝手な方向に跳ねまくった髪を緩く振りながら、やれやれと肩をすくめる浦原さんに、俺はとうとうブチ切れて怒鳴り返した。



「…って、アンタがサンタクロースだからに決まってんだろうがっっ!!」
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