四天ぶっく

□Secret course
1ページ/1ページ




「なぁ、知っとる?」

「何なん、その“豆●ば”みたいな台詞。」

「そんなんえぇから、話聞いてや。」



某キャラクターみたいな語り口調で話しかけてきた蔵ノ介に軽いツッコミで返したら、意外にもちょっと真剣な表情で言葉を返されたから、あたしは「何よ?」と真剣に話の続きを促した。
蔵ノ介が学校で真剣に話をするなんて珍しい。普段、大切なことは家で話したり、電話とかメールだったりするのに。



「名無しさん、勿論クリスマスは空けとるやんな?」

「え?うん。やって蔵ノ介のことやから誘ってくれるんちゃうの?」

「誘うで、当たり前やろ。」

「それがどないしたん?」

「行きたいところがあんねん。」



何故か物凄くキラキラとしている(様な気がする)目でそういう蔵ノ介に対して、少しの間をおいて「へぇ。」と返す。すると、その反応が気に入らなかったのか、蔵ノ介はもう一度「行きたいところがあんねん!」と繰り返した。そして勿論、あたしも同じように少しの間をおいて「へぇ!」と返す。
不満と悲しみの入り混じった蔵ノ介の顔は見なかったことにしよう。



「ほんで、知っとる?て何の話や。」

「あー……うん、それはやっぱり言わんとくわ。」

「は?」

「楽しみにしとき。」



そう言いながら決め顔をして席を離れようとする蔵ノ介。あたしは、その背中に向かって「頭アレなんかなぁ。」と、聞こえるように呟いた。



それから蔵ノ介がその話をすることはなく、当日。
何をするか、どこに行くか、それどころか何時に待ち合わせかも言われなかったが、のんびりと準備しているタイミングで、丁度良くチャイムが鳴った。ドアを開けなくても、ドヤ顔で「丁度えぇやろ!」的なことを言うであろうことはわかってる。



「丁度えぇやろ!どや!」

「ほらキタ。」

「え?何や?」

「何でもないわ。はよ行こ。」



頭上に疑問符を浮かべる蔵ノ介は無視して、あたしはとりあえず先を促した。ここで、あたしが予想していた通りになったということを話せば、愛がどうのこうのと煩くなるであろうことは目に見えている。というより、どや、て言いたいのはあたしの方なのに。
それにしても、蔵ノ介が言う“知っとる?”は、一体何の話だったのか気になる。言ったところで教えてくれる気がしないから、教えてくれるまでは聞かないつもりだけど。



「やっぱりカップル多いなぁ。」

「そりゃクリスマスなんやからしゃーないやん。」

「まぁ、それもそうやけど、」

「何や。」

「ヒミツ、や。」



唇に人差し指を当ててそういう蔵ノ介を見ながら、やっぱり絵になるなぁなんて少しの関心と、やっぱりウザいなぁという不満の感情を覚えた。口には出さないが。
それから、あたしは何故か四天宝寺に行って参拝し、普通にショッピングをして、普通に喫茶店に行って。暗くなってきた頃には、この辺で一番大きな公園の様な所に行ってイルミネーションを見た。
そこで思い出すのが数日前の蔵ノ介の言葉。あの“知っとる?”の答えはもう終わったのか、今がそうなのか、まだこれからなのか。



「…………。」

「ん?何や。」



疑問を抱きつつ蔵ノ介に目をやれば、あたしの視線に気が付いたらしい蔵ノ介が優しく微笑みながら首を傾げる。もしかして、自分が言ったことを忘れてるのかとも思ったけど、蔵ノ介に限ってそんなことはないと思う。誰もが認めるくらいに聖書じみたこの男が、まさか。



「いや、その……気になることがあるんやけど。」

「あぁ、もしかして、この間の話のことやろ。」

「せや。蔵ノ介がウザったく焦らしたアレや。」

「何や一言多かった気ぃするんやけど……まぁえぇわ。それはこの間、朝のニュース番組を見ていた時の事やった。」

「語り口調なんかい!」



「クリスマスのデートコースとして今話題なのはここ、四天宝寺です!」そんな声が聞こえてきた俺は思わずテレビに釘付けになった。見慣れた学校がテレビに映る。そのすぐ傍の、これまた見慣れた寺もテレビに映った。「午前中に四天宝寺で参拝して、夜に××公園でイルミネーションを見ると、そのカップルは永遠に結ばれるという噂が広まっています!」そんなアナウンサーの言葉に、俺が反応せぇへんわけがない。別に、名無しさんとの関係に心配事とかあるわけちゃうし、永遠に結ばれるつもりで付き合っとるつもりやけど、念には念をっちゅー言葉は確実にこの世に存在するもんなんや。



「っちゅーことで。」

「蔵ノ介……女々し!」

「え、嘘やん。」

「何でこないなとこで嘘つかなあかんねん!」



言えば、蔵ノ介は少なからず落ち込んだような表情を向けた。
その顔は、ズルい。



「やけどまぁ、」



思わずそう紡いでしまった後に、咄嗟に口を塞ぐ。
「やけどまぁ、」何?蔵ノ介と一緒にクリスマスを過ごせただけで楽しかった?蔵ノ介がそんなこと考えてるとは思わなくて嬉しかった?どっちも恥ずかしい。



Secret course

(やけどまぁ、何や?)
(ひ、秘密や!)






*****
寺?何で寺??
ふは、自分でも何が書きたかったのかわからなくなった。

20111223.マガジンクリスマス企画

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ