比嘉ぶっく

□人はそれを
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その1、目が合うと、ドキッとする。
その2、気が付くと、目で追ってる。
その3、似ている名前でも、無意識に反応してしまう。

それを人々は何と言うのか。





「裕次郎!部活サボんなバカ!」

「ぃやーや関係ねーらんやっし!」
(お前には関係ないだろ!)

「じゃあ部長様にどうされても助けないんだからねーっ!」

「ちょ、え、」



彼女が転校してきたばかりの時は、何も思わなかった。彼女がわったーのマネージャーになった時だって、特に何も。なのに気が付いたらこんな状況になってて、今だって手汗が半端なくて。
この感情が所謂“恋”なのかと沢山の友達に聞きまくったら、そんなの自分で考えろと皆に鼻で笑われた。だからこの気持ちが“恋”なのかは、イマイチよくわからないけれど。



「とにかく部活行くよ!」



遠慮なくわんの腕に自分の腕を絡めて、名無しさんはわんを引き摺り歩く。離したくはないと思う反面、恥ずかしすぎて今すぐ離れたいと思うのはおかしいだろうか。こんな感情は初めてだから、これの対処法もわからない。(皆がちゃんと教えてくれれば……)
熱くなった顔がどんな表情をしてるか気になりながらも、わんは名無しさんに引き摺られるようにして歩き出した。



「あ、そういえば聞きたいことあったんだけど。」
「ん、ぬーやが?」
(何だよ?)

「凛にね、裕次郎が“ちむどんどんしてる”から助けてやれ、って言われたんだけど…ちむどんどんって何?」



突然聞きたいことなんて言うから部活のことだと思って心構えしてなかったせいか、あまりにも予想外のその質問にビクリと肩が揺れる。確かに、うちなーぐち(沖縄言葉)を未だに理解しきれていない名無しさんにとっては普通の質問なんだろうけど。“ちむどんどん”が“ドキドキする”って意味だなんて、この状況(腕組んで歩いてる)で言えるわけがない。それにきっと、それを言ってしまったらわんの気持ちもばれるに決まってる。



「あ、あー…」

「勿体ぶらないで教えてよ!あたしが助けられるんなら助けてあげたいし!」

「…ど、ドキドキするって意味、さぁ。」

「………え?裕次郎、何か悪い病気なの!?」

「ふ、ふらー!ちげいん!ぬーんちうんぐとーるむんんかいなるんばぁ!?ぃやーがしちゅんやくとぅちむどんどんするってくとぅあんに!強いてあびるならぃやー病やぁ!」



うちなーぐちで捲し立てたら名無しさんの頭上に疑問符が沢山浮かんだように見えた。いや、多分、実際に名無しさんの頭の中では疑問符が沢山浮かんでると思う。
「ば、バカ!違う!何でそんなことになるんだよ!?お前が好きだからドキドキするってことだろ!強いて言うならお前病だ!」という意味だと後々説明しなきゃいけないということを忘れてたバカなわんが、名無しさんの興味に満ち溢れてキラキラした目力に負けて泣く泣く、というよりも恥じ恥じ(?)説明したのは言うまでもない。



‐人はそれを“ ”という。‐



その後どうなったか?
うんぐとーるむん聞かんけー。





20110511.闇風光凛

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