比嘉ぶっく

□わんだけが知っている
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わんの好きな奴には、多分わんしか知らない秘密がある。勿論、秘密だから1番仲が良い友達の凛にだって、このことは話してない。わんだけが知ってればそれで十分。



「名無しさん、ノート貸して。」

「あぁ、はい。」

「にふぇーでーびる!」
   (ありがとな!)



容姿たんれい、ひんこうほうせい。(漢字は知らん!)そう周りから言われる名無しさんのノートは、名無しさんの性格が滲み出てるってくらいに綺麗でわかりやすくて。このノートのお陰でわんの赤点危機を幾度となく救済されたし、逆に褒められるようになった。優秀な彼女を持ってわんは幸せ。



「名無しさん、くぬ漢字ぬーやが?」
   (名無しさん、この漢字何?)

「バカかお前。」

「なっ、ふらーじゃねーらん!」
   (なっ、バカじゃねぇ!)

「はぁ…」



…やっぱり幸せ発言取り消したい。わんは漢字聞いただけなのに、何で溜息つかれなきゃいけないんだ。仕方なく意味がわからない漢字を渋々ノートに写してると、ふと顔をあげた時に名無しさんがやれやれとでも言いたげな表情をしてるのに気付いた。



「それは『あいきょう』って読むんだよ。」

「あぁ!名無しさんんかいねーらんむんあんに?」
   (あぁ!名無しさんに無いものだろ?)

「てめぇぶっ殺すぞ」

「わっさいびーん…」
   (ごめんなさい…)



冗談なのに!軽いジョークなのに!
名無しさんが怪訝と悪意をたっぷり含んだ表情でわんを睨むから、わんは反射的に名無しさんから視線を反らす。恐すぎて見れない。本当にぶっ殺されるかもしれない、どうしよう…!



「ちょっと顔貸せや」

「はい…」



答えると襟首掴まれて屋上まで連れ出されたわんは、強制的に正座させられた。ただの冗談のつもりだったのに、もしかしたら、もしかしなくても彼女の1番気にしてる事を言っちゃったのかもしれない。だからってこんなところで正座させられて説教だなんて。



「裕次郎、」

「だ、だぁ、名無しさんやわんぬくとぅしかんばぁ!?」
   (な、なぁ、名無しさんはわんのこと嫌いなのか!?)

「は?急に何だよ。」

「わ、わんや名無しさんがしちゅんやくとぅ、わじる名無しさんより笑う名無しさんが見たいんやしが…」
   (わ、わんは名無しさんが好きだから、怒る名無しさんより笑う名無しさんが見たいんだけど…)

「なっ、おまっ…!」



彼女は名無しさんらしくもなく顔を赤らめて、動揺した様子で一歩後退りする。わんが名無しさんのシャイな一面を知らないとでも思ったのか、予想外に驚いてるらしい。



「わんぬくとぅ、しちゅん?」
   (わんのこと、好き?)

「ばっ、バカかお前!す、好きに決まってんだろ…!」

「にふぇーでーびる!」
   (ありがとな!)



いつもは雄々しく逞しい女だけど本当は女々しいところもあるんだって、知ってるのはわんだけで十分。


わんだけが知っている



リクエスト(20100925.闇†風)


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