比嘉ぶっく
□君の責任
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「名無しさんらしくねーらんどー。」
(名無しさんらしくないぜ。)
「あたしらしくない…?」
「名無しさんがなちゅんなんて。」
(名無しさんが泣くなんて。)
「だって…」
いくら小さい頃から人前では全然泣かなかったあたしでも、こんなときに泣かないなんて無理な話で。「凛が悪いんだよ」って文句を言いながら凛の胸倉に顔を埋めれば、凛は笑って謝りながらあたしの頭を撫でてきた。
凛とはいつも仲が良かったから、端から見ればあたし達は既にそういう関係に見えていたかもしれない。けれど、凛が『好き』なあたしにはそんなの物足りなくて。だからついさっき告白されて泣いたのは、仕方ないくらいに嬉しいっていうあたしの気持ち。
「名無しさんがうりだとわんが困るんやしが…」
(名無しさんがそれだとわんが困るんだけど…)
「泣かせておいてそんなこと言うなんて、サイテー。」
「ぃやーまじゅんやなちぶーあんに?」
(お前本当は泣き虫だろ?)
「ち、違う!」
けらけらと笑う凛を軽く殴れば、凛は仕返しと言わんばかりの少し強い力であたしを抱きしめる。「そういうの反則技っていうんだよ。知らないの?」聞けば、ただ一言「知らん」と返ってきた。わかってるくせに、わざとそうやってあたしをドキドキさせてることくらい気付いてるのに。気付いてるのに、ドキドキしてるあたしって本当に単純。
「うり、へーく泣ち止めー。わんや笑ってる名無しさんぬ方がしちゅんさぁ。」
(ほら、早く泣き止めよ。わんは笑ってる名無しさんの方が好きだぜ。)
「でも、」
「あんしぇー泣ちうたいてなだ枯れてもわんぬせいんかいさんけー。」
(じゃあ泣き疲れて涙枯れてもわんのせいにするなよ。)
「…バカ。」
もしも今涙が枯れたらあたしは一生凛を恨んでやるんだから、ちゃんと責任とってよね。
言えば、呆れた顔をしながら、小さい子供にでも言うような優しい喋り方で「わぁってる」(わかってる)と一言囁いて、キスを一つしてくれた。
君の責任
同盟に提出(20100910.闇†風)