比嘉ぶっく

□繋がり方
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「うきみそーちー!」

「憂き身装置?」

「………」



怪訝な顔をする凛に笑って見せるが、凛の顔が変わる気配はない。そりゃあ沖縄の方言であるうちなーぐちを馬鹿にしたような発言をしてるんだから仕方ない、けど私にはどうしようもない。

自慢じゃないがうちなーぐちとやらが上手く通じることなんて滅多に無いし、彼氏である凛にも出来る限り標準語で喋ってもらってるくらいに私はうちなーぐちがわからない。



「おはようって意味だって教えたあんに。」

「あー、凛がゆっくり言ってくれないからわかんなかった!おはよう!」

「わんぬせいんかいさんけー!」

「…え?」

「だーもう!わんのせいにすんなってこと!」



あぁそうか、なんて呟くように言えば凛はいつもの如く、怒ったような呆れたような顔で溜息をつく。が、私は悪いことをしているだなんて一切思わなくて、寧ろ伝わらないわけじゃないから良いんだと思ってる。



「ごめんねー?」

「謝る気無いやっしー。」

「うん」

「名無しさん…!」



そんな怒られてもどうしようもない。まぁ本気で怒ってるわけじゃないだろうけど、元々目付きが悪い凛に睨まれるとやっぱり怖いわけで。



「ごめん…」

「っ!べ、別に…!」



涙目の上目使いで謝ってみればオロオロする凛が目に映った。あぁこの単純さが可愛くて仕方ない。笑ってキスしてやって、真っ赤になった凛を嘲笑いながら数歩先を歩き出す。

後ろから駆け足で追い掛けてくる凛に目をやると、嬉しそうに笑ってるから調子が狂う。もっと困ったような顔をしてるとばかり思ったのに。



「今日も部活でしょ?」

「あぁ。わんのカッコイイところ見とけー!」

「普通自分でカッコイイって言う?」

「仕方ないあんに、カッコイイから。」



どこまで自意識過剰なんだとか馬鹿じゃないのー?とか笑い飛ばすとか色々対応の仕方はあったはずなのに、私はただ「そうだね」と返した。勿論、嘘偽りは全く無い本心として。



「カッコイイよ、凛」

「名無しさんに言われると照れるさぁ」

「それから可愛い!」



勿論その言葉も嘘偽りは全く無い本心で。怪訝、というよりは心底不満そうな顔をする凛に笑いかけるれば、ふて腐れたらしく足早に歩き出す。そこまで気に食わなかったのか、と思わせるほどにそのスピードが速くて追い掛けるのに必死こいていると、少し歩いてから急に振り返った凛は予想外に逆走してきた。



「ど、どうしたの?」

「わんってうんぐとーるちゅらかーぎーばぁ!」

「…え?」

「わんってそんなに可愛いのかよって。」

「あぁ、うん。」



物凄い剣幕をしながらうちなーぐちの早口でまくし立てられても全くわからなくて、聞き返してすぐに返ってきた標準語訳に素直に答えれば再び物凄い剣幕で肩を掴まれる。聞いておいてそんな怖い顔するなんて酷くない?とか思いながらもとりあえずその怖い顔から目を反らす。



「わん、男やっしー」

「わかってるよ!わかってるけど可愛いもんは可愛いんだもん!」

「カッコ良くないってことばぁ?」

「そういうわけじゃないよ!可愛いしカッコ良いよ?」



本心。言えば凛は意識的か無意識か、急に気持ち悪いとも言えるような顔でにやけだした。「えへへ」なんて擽ったそうに笑う凛を見ているとこっちまで擽ったくなってきて、笑ってみせれば嬉しそうに笑う凛。



「しちゅん!」

「好きってこと、だよね?」

「…聞くな!」



いくら田舎の道だからって通学時間帯の今は人が結構居るのに、そんな道で恥じらいもなく抱き着いてくる凛はすごい。いや、もしかしたら恥じらいはあるけどそれを堪えて抱き着いているのかもしれない。だとしたらもっとすごいけど。



「は、早く学校行くよ!」

「照れてるばぁ?」



凛の様子を見ると恥じらいなんてものはやっぱり無いみたいで、私ばっかり照れてると思うと尚更恥ずかしい。






(もう!さ、先行くから!)
(照れてる名無しさんもちゅらかーぎーやぁ。)
(どう言う意味?)
(秘密さぁ!)


プレゼント/20100206.闇†風

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