立海ぶっく

□サンタクロース
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聖なる祭りに現れる赤服のおじさんよ、どうか俺に勇気というクリスマスプレゼントをください。

それはつい1ヶ月くらい前からの俺の願いだった。半年くらい前にジャッカルのクラスに遊びに行った時に見つけた、俺の初恋の相手。それが今も想いを寄せている奴、名無しさんだということは言うまでもないと思う。それから、今までは大して遊びに行かなかったジャッカルのクラスに毎日のように遊びに行き出した俺は、男子が持っている『ノリで話し掛ける』という特権に乗じて名無しさんに話し掛けるようになった。そうすれば、名無しさんは意外にもノリ良く言葉を返してくれて、今ではジャッカルよりも名無しさんと仲が良いっつー自信がある。



「っつー訳だから、ジャッカルサンタ、俺に力をくれ!」

「バカ言うな。」

「酷ぇ!冷てぇ!あぁショック受けたぜ…」

「お前が俺目当てで遊びに来てる訳じゃねーっつーのは薄々わかってたけど、それを何の躊躇いもなく告げられた俺の方がショックだっつーの!」



途中から知らない言語で話されそうなくらい凄まじいジャッカルの勢いに、内心はすっげー冷や冷やした。(あれ、ジャッカルって異国語話せるんだっけ?)
まぁ確かにジャッカルには悪いことしてると思うから言い返せるような立場じゃないけど、そういうことを何の文句も言わずに呆れながらもやってくれるのがジャッカルじゃん?少なくとも俺はそう思ってる。
言えば、ジャッカルは何の構えもなしに俺へとパンチを一撃。それから「仕方ねぇな」なんて苦笑いしながらも、いつもみたいに俺の願いを聞いてくれて。流石ジャッカル、直接は言わねぇけど大好きだぜ!



「って言っても俺は何すれば良いんだよ。」

「…これを」

「ラブレター?」

「違っ…!クリスマスパーティーの招待状。」



確かに見た目はラブレターっぽいかもしんねぇ(っつーか、ラブレターって言っても過言じゃねぇし。)けど、だからこそ込められてる感情はラブレターに託す想いそのもので、緊張も半端ない。
っつー訳でジャッカルに渡してもらいたい、っていう気持ちを察してくれたのか、ジャッカルは溜め息をついて俺からソレを受け取った。と同時に、俺は足早にジャッカルの教室から抜け出す。だって、教室で読んだときにその場に俺がいるなんて恥ずかしいだろぃ?

【クリスマスパーティーするから、俺のこと好きだったら来てほしい。】


だけど、クリスマス当日の今日になっても、名無しさんからの返事はない。学校で会っても些細な会話をする程度で、この話題については何も話さなかった、というより話せなかった。っつーか、もしかして俺フラれた?考えたくはねぇけど返事が来ないってのは、つまり、そういうことなのか?ジャッカルは確かに渡したって言うし…。(ジャッカルが嘘つくなんてのは考えられない。)
すると不意にチャイムがなって、母さんが買い物行ってるからって仕方なく俺が玄関に向かう。



「にぃちゃん、サンタ?サンタ?」

「だったら良いな。」

「うん!サンタさんだったらいいねーっ!」



まぁ、このタイミングで来るっつったら宅急便か回覧板か、荷物で両手が塞がった母さんか。後者だろうな、なんて思いながらも弟たちに適当な相槌を打ちながら玄関の扉を開ける。そうすれば俺の視界に飛び込んできた1人のサンタに、俺は何も言えなくて。俺の後ろから顔を出した弟たちがサンタに大喜びするのさえも、まるで別次元の会話のように聞こえた。



「メリークリスマス!」



サンタっつっても比喩表現とかじゃなくて、コイツは、名無しさんは本当にサンタの姿で。不意打ちを食らった俺は、取り敢えず深呼吸。



「っつーか、来てくれたってことは…その、」

「好きだからだよ、ブン太のこと。」



ストレートに告げられたその言葉に、俺は言葉を返す術を失ったような錯覚に囚われる。そのせいで俺は「お、俺も好きだぜ…」なんて情けない返事をしちまって、名無しさんの可愛い笑顔が崩れるんじゃないかっつーくらい盛大に笑われることとなった。


サンタクロースからもらったサンタクロースの彼女


101024.闇†風

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