立海ぶっく

□satisfaction
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「ブン太の腹チラ最高!」

「おまっ、でかい声でそんなこと言うなっつーの!」



多分、すっげー顔赤くなってるであろう俺は、コートの端っこから端っこまで聞こえるような声で「エル、オー、ブイ、イー、ラブリーブン太!」とか叫ぶ名無しさんに叫び返した。恥じらいのカケラも見えない名無しさんは、逆に尊敬したいくらい。
っつーか腹なんて見えるのはよくあることなのに、それを見て一々騒がれたら恥ずかしいっつーの。なんて、言っても聞かないことくらいわかってるし、恥ずかしいけど嬉しいって思ってる自分が居るからきつく言い返せない。



「ブン太大好きーっ!」

「ばーか!俺も名無しさん大好きだーっ!」

「やったーっ!」



端から見たらただのバカップル。いや、誰がどう見てもバカップル。まぁ公認みたいなもんだからバカップルでも構わないし、そう思ってる俺が1番バカだっつーことも重々承知してる。
それにしても、幸村君の視線が怖い。地震、雷、火事、大山事、真田よりも幸村君が1番怖い。



「ちょっと話があるんだけど、良いかな?」

「は、はい…」

「あのマネージャー、ブン太の所有物だよね?」



物じゃなくて人、だなんてツッコミすら入れられない。っつーか、この状況でツッコミ入れたら確実に殺される!とにかく頷けば、少し黙らせろと命令、じゃなくて注意された。



「名無しさん、ちょっと静かにしてろよ。」

「何で!?ブン太は私のこと嫌いになったの!?ラブリー応援がいけなかった!?ごめんね、嫌ならやめるから嫌いにならないで!」

「ちょ、待て待て待て!嫌とも嫌いとも言ってねーだろ。」

「え、マジか。」



さっきまで被害妄想でわたわたと大声で喚き慌ててた名無しさんは、キョトンとした目で俺を見る。わたわたな名無しさんも可愛かったけど、キョトンな名無しさんも可愛い!ってそうじゃなかった。



「煩いって幸村君に怒られたんだよ。」

「煩い?私が?」

「あぁ、だから少し大人しくしてろぃ。」

「ぶーぶー!」

「…それは名無しさんの感情?それとも俺に当て付け?」



頬膨らませて「ぶーぶー」って、可愛いけど当て付けにしか聞こえない自分が悲しい。いや、名無しさんはそんな俺が好きなんだから自信持て、丸井ブン太!
聞き返した俺に、名無しさんはもげるんじゃないかっつーくらい大袈裟に首をぶんぶんと左右に振る。それがあんまりにも大袈裟だから「わかったわかった」なんて言って頭を撫でながら宥めてやれば、嬉しそうに微笑む名無しさん。



「とにかく、幸村君に怒られたくねぇから静かにしてろよぃ?」

「わかった!ブン太大好きだから約束守るよ!」

「サンキュー!」



…とは言ったものの、名無しさんは何か理解の仕方を間違ってる。確かに静かにはなったけど、その分を行動で示すなんて。両手を大きく振って投げキッスとかしてきちゃったりして、本当に恥ずかしい。嬉しいから、恥ずかしい。



「名無しさん、やめろって…!」

「…嫌なの?」



もう一度、名無しさんの所に行ってそう言えば上目使いでそう言われて、一気に体温が上昇したのがわかる。それでも名無しさんの目を見て「恥ずかしい」そう伝えれば、満足そうに笑う名無しさんが目に映った。



「それに、」

「それに?」

「他の奴等にお前のそんな姿見せたくねぇ。」

「え、えっと…」

「お前の投げキッスもバカな顔も、俺だけが知ってれば充分なんだよぃ。」



わざとらしく耳元で囁いてやると、真っ赤になった名無しさんがコクコクと頷く。「わかればオッケー」なんて俺の言葉は、多分聞こえてない。



「あぁそれから、」



さっきまで居た場所に戻ろうとして、俺は踵を返す。このままだと名無しさんは同じことを繰り返しかねない。それを考えると、嬉しいけど…複雑な気分になる。踵を返した理由は単純に、その解決策が浮かんだから。
名無しさんが頭上にハテナを沢山浮かべてるうちに、俺はあくまでも自然に名無しさんに近付く。それから、何かを言おうとした名無しさんの口を俺の唇で塞いだ。



「俺が次にキスするまで、喋るのと変な行動すんの禁止な。」

「!?」

「やっぱ俺って天才的ぃ!」


satisfaction


真琴様リク/2010401.闇†風

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