立海ぶっく

□好い鴨、ぜよ
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「まーさはーるせーんせ!」

「その呼び方やめんしゃい。」

「やっぱり名前呼びはダメ?」

「いや、阿呆臭い奴に見える。」

「何それひっどーい!」



職員室のど真ん中、そこにある雅治先生のイスに座ってそう叫んだ。迷惑?そんなの私は知ったこっちゃありません!先生を愛する気持ちなら誰にも負けないんだから!
回転式イスでぐるぐると遊びながら、雅治先生とお喋りする。それが普段の習慣であり、今では職員室の名物みたいな扱いを受けたりしちゃって。



「お前さんも飽きないのぅ。」

「雅治先生に?そりゃ飽きるわけないじゃん!」

「そうやのぅて、」

「ん?」

「回転イス」



今も私によってぎしぎしと少し危なげな音をたてながら動いている回転イスを指差して、雅治先生はいつもの「やる気あるの?」と言いたくなるような顔をしていた。



「あぁ、回転イス…」

「いつかお前さんの勢いと体重に破壊されるんじゃろうな、可哀相に。」

「うわ、言葉の暴力!」

「お前さんなら大丈夫じゃろ」



どういう意味かな!そう言えば、そのまんまじゃよ、なんて返ってきたから、仕返しに雅治先生の消しゴムを折ってやった。折った後に、雅治先生よりも折られた消しゴムが可哀相な気がして後悔したけど。



「あ、次終われば昼休みじゃん!」

「あぁそうじゃのぅ。」

「先生、一緒にお昼食べよー!」

「来ると思った…」

「ダメ?」



聞けば、ほぼ即答でダメだと返ってくる。まぁそうなるのも当たり前だ。何故ならここは職員室だからで、教師が生徒とそんな親密な関係になるのは絶対禁止。



「ちぇー」

「お前さんがもっとナイスボディーになったら考えてやってもいいぜよ。」

「すいませんね、胸無いくせにケツでかくて!」

「せめてC以上がえぇのぅ。」

「うわー変態!」



予鈴と同時にそう言い残して、私は職員室を後にする。ちょっとスキップ気味になるのはお約束で。


昼休み、私はいつも通りに屋上へ向かう。するとそこには雅治先生が居て。手を振れば振り返してくれる、それだけで心が弾んだ。



「今日もちゃんと一緒にお昼食べてくれてるじゃん!」

「お前さんが来たからじゃろ。」

「でも雅治先生逃げないし。」

「俺が先客じゃけぇ。」

「そんな事言って、本当は私がここに来るの待ってるんじゃないのー?」



厭味っぽくそう言ってやれば、雅治先生は「今日も良い天気ぜよ」なんて、露骨に話を反らしだすから笑える。「そうだね」私はそう返して、ご飯を食べるのを再開。雅治先生もそれに合わせるように再開した。



「お前さん、飽きないのぅ。」

「だから雅治先生に飽きるわけないじゃん!」

「いやだから、そうやのぅて。目玉焼きの話。」



またも「やる気あるの?」と言いたくなるような顔をして、雅治先生は私の弁当箱、の中にある大きな目玉焼きを指差す。初めてお弁当を食べた時、普通は卵焼きじゃろと言われたけど、結局そのまま目玉焼きイン弁当状態。



「私、変なモノが好きみたい。」

「遠回しに変って言われとる気がするんじゃが。」

「………気のせいじゃない?」



そう言えば、雅治先生はわざとらしく溜息をついて、仰向けに寝転がった。気付くと雅治先生は昼食を終えていて。私も急いで食べて、雅治先生の隣に寝転がる。



「凄い良い天気!」

「そうじゃのぅ。晴れは好きぜよ。」

「私も好き!でも雅治先生の方が好きだよ!」

「飽きない奴じゃのぅ。」

「今度は何に?空見ること?雅治先生の隣に寝ること?」



今まで回転イスの事だったり目玉焼きの事だったりしただけあって、今回は騙されまいと先に内容を聞くことにした。が、聞いたと同時に雅治先生の含み笑いが聞こえて。



「俺に、ぜよ。」



そんなこと言われるなんて思ってなかったから、思わず「は!?」と聞き返してしまった。条件反射だと思っていただけると有り難い。



「あ、飽きるわけない、よ?」

「さっきまでの自信はどこ行ったんじゃ。」

「びっくりして飛んでっちゃったかも…」

「じゃあびっくりしたついでに、もう1つびっくりしてもらうぜよ。」



雅治先生はククッと含み笑い。おちょくられてる、ような気もするけど、それすらも気にならないくらい唖然としてしまう。…キスをされてしまったから。


好い鴨、ぜよ


(びっくりしたじゃろ?)
(…ばかー!)
(ククッ)



※好い鴨…こちらの思い通りになる人のこと(^^)←

20091228.闇†風

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