立海ぶっく

□俺の先行き不安
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「生まれ変わったら猫になりたい。」

「は?」

「だから生まれ変わったら」

「そうじゃなくて、何だよぃ急に。」



部活後に後輩マネージャーの名無しさんと喋ってると、名無しさんは突然そんなことを言い出した。因みにさっきまでは、昨日の晩飯がお好み焼きだった話。



「いや、ふとそう思って。」

「へぇー。俺は、」

「豚ですね、何をどう考えても。」

「っ、お前なぁ!何をどう考えて豚になったのか知らねぇけど、少しはお前と俺の立場考えろよ!」



豚、そう言われたショックは大きい。が、それよりも後輩という立場を忘れてるような名無しさんにそう言えば、名無しさんは怪訝な顔を俺に向けられた方がダメージ大。



「老若」

「いや、間違っちゃいねぇけどよぃ…。」

「じゃあ良いじゃん。」



あ、ついにタメ口来た。そう思ったけど、また名無しさんに反抗したら今度は何が怒るのやら。しかもちょっとムスッとする名無しさんは、可愛い。



「名無しさん、何ふて腐れてんだよ?」

「ふ、ふて腐れてなんか…!」

「本当か?」



むに、と頬をつまんでやれば、お返しとか言って腹をつままれた。っつーかちょっと痛ぇ。そのお返しにこっちも少し力を入れたら、半泣きになる名無しさん。



「いひゃい…」

「お前が強くするからだっつの。」

「してないもんバカ!」



言いながら、頬をつまむ手を離した。途端に、名無しさんからの強烈アッパーが俺の溝に入る。痛くはないけど吐きそう。



「おまっ、溝やられたら吐くだろ!」

「食べ過ぎるからいけないんだ。」

「だから何でそんなふて腐れてんだよ?」

「……知らない」

「だーもう!俺が何か嫌なことしたのか?」

「知らない!」



わけわかんねぇ。今の会話の流れで何があったっつーんだよ?そう思うけど名無しさんは聞いても答えないし、あんまり深く突っ込んだらもっとふて腐れそうだし。でも気になるんだよな…。



「まぁ話したくないならそれでも良いけ」

「バカ」

「……うん?何で今、俺の話遮ってまでバカって言った?っつーかお前より頭良いし。」

「私、ブン太先輩のこと好き。」

「唐突だな。」



名無しさんの心の中で何があったのかは知らないけど、突然過ぎるその発言に少し混乱した。好き、はどういう意味の好きなんだ?とか、っつーか聞き間違いじゃねぇよな?とか。だから笑ってごまかしたら、またアッパー。



「お前意味わかんねぇぞ!」

「私だって意味わかんないもん!何で私がブン太先輩のことなんか好きになるわけ!?」

「なっ!?知らねぇよ、逆ギレすんな!っつーか何だよ、俺がすっげーモテない奴みたいな言い方しやがって!」

「え、モテないじゃん!」

「は?モッテモテだし!」



言い返せば、名無しさんは「えー」とでも言いた気な表情をする。俺がモテることがそんなに不服か。と言いたくなるような顔だ。



「でも、私はもっと良い人を好きになりたかった。幸村部長とか柳先輩とか、そういう人。」

「じゃあ好きになれば良いんじゃねぇの?」

「でもブン太先輩好きになっちゃったから仕方ないし。」

「仕方ないとか言うなよ!」



好きって言うけど、顔は不満そうで。好きなのか嫌いなのかよくわからない。まぁ名無しさんが好きって言うんだから好きなんだろうけど。



「じゃあ付き合って。」

「お前さっきから目茶苦茶なこと言ってるってわかってるか?」

「……」



聞くと、名無しさんは俯いて泣きそうな表情をするから、俺は思わず謝った。謝ってから気付いたけど、俺は別に謝るようなことしてないと思う。



「っつーか俺、ダメだって言った?お前、何か勘違いしてねぇ?」

「…は?」

「だーかーら!何でお前はそんな上から目線なんだよぃ!」

「は?」

「あ、いや、ごめんなさい…」



だから何で俺が謝ってんだよ…!とは思うものの、名無しさんには逆らえない。うわ、すげー満足気な顔してるし。



「俺もお前のこと好きだから。付き合っても良いぜ!」

「…何言ってんの。」

「え?」

「付き合ってあげるのはこっちだし。」



少し顔を赤くして、俺から目を反らして。でも偉そうにそう言う名無しさんが笑える。「はいはい」そう答えたら、またアッパーを食らわされた。


俺の先行き不安


(溝はマジでやめろって…!)
(うわー、必死)
(当たり前だろバカ!)
(バカ?)
(ひぃっ!ごめんなさい!)



20091231.闇†風

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