黒執事

□夢の続きを
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「気持ちは落ち着かれました?」

「あぁ・・・もう大丈夫だ」

セバスチャンに入れてもらった紅茶を口に運びながら、シエルは息をついた。

(いまだに悪夢でおびえるとはな・・・)

あまりにも不甲斐無く、恥ずかしいものだ。

「・・・セバスチャン」

「はい。何でしょうか?」

セバスチャンは口元を少し緩ませこちらに微笑んだ。

「・・・月、今日は満月か?」

「・・・・そうですね。見事な満月ですよ」

窓の奥では、大きく美しい月が、夜の屋敷を照らし出す。

「・・・夜は、時間が長く感じるな」

独り言のつもりだった。しかし、セバスチャンには聞こえたらしく、こちらを振り向いた。

「でも、そろそろお休みになった方が良いですよ。身体に障ります」

長い指が頬に触れる。

シエルは目を細め、その手を軽く振り払った。


「あと少しだけ、月を見させてくれ」


セバスチャンは困ったように首を傾げ、微笑んだ。





「少しだけですよ?マイロード」





月はさらに濃くなった闇に光り輝き、シエルを包み込んだ・・・
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