黒執事

□黒き薔薇 我が手の中に
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(で、何で僕は誕生日を聞いているんだ!!!!)

そして、朝に戻る。

目の前のセバスチャンは少々驚いたようだが、すぐに顔を綻ばせた。

「無いですよ。そんなモノ」

「・・・?そうなのか・・・?」

シエルはシーツから顔を上げ、セバスチャンの顔を見た。えぇ、とセバスチャンは頷く。

「私たちは、意図的に作られたものですからね。自分が何時生まれたかなんて、知りもしません」

「そう、なのか・・・」

シエルは顔を伏せた。

(それはそれで、人間離れしているって言うか・・・)

「何か、あったんですか?」

「べ、別に何も・・・」

「そうですね。あえて言うならば、坊ちゃんの僕に下った時が、私の誕生日でしょうか」

「えっ」


「貴方がいたから、私がここに居る。その日を誕生日にしても、可笑しくないでしょう?」


セバスチャンは、シエルに向かい微笑んだ。

(そ、そんなあっさりと・・・)

「・・・今年のその日まで、あと何日だ?」

「そうですね・・・あと3日、というところでしょうか」

「そうなのか!!」

「えぇ。本当に貴方は変わられた」

すると、ふと、時計を見たセバスチャンが空になったティーカップを持ちドアに歩み寄った。

「では、時間ですので。またあとで来ますね」

「あぁ・・・」

バタン、とドアが閉まった。

シエルは、盛大なため息をついた。

(あと3日って・・・近すぎだろう・・・)

どうしてこうなるのか、とシエルは頭をかいた。

あいつは何が欲しいんだろう・・・

何を望んでいるのだろう・・・

出来るのならば、叶えさせてやりたい。



でも、自分にそんな事が出来るのだろうか・・・―――
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