黒執事
□記憶、赤
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何時もの目覚め。
寝台で横になっていたシエルは、久しぶりにセバスチャンに起こされる事無く目が覚めた。
何故か、目が冴えている。
「失礼します。・・・坊ちゃん、早いですね」
その時丁度、扉の向こうからセバスチャンが姿を現した。
「あぁ、目が覚めた・・・っ!!!!」
シエルが顔を上げ、セバスチャンの方を向くと、
その手には、真っ赤な薔薇が入った花瓶が持たれている。
いきなり表情を変えたシエルに、不審に思ったセバスチャンは、寝台へと近づく。
しかし、シエルは首を振り、立てていた膝に顔を埋めてしまった。
「坊ちゃん・・・?」
「お願いだ、その薔薇を・・・机に置いてから此処に来てくれ・・・」
「・・・?」
セバスチャンは言われた通りに花瓶を机に置く。
その時丁度、机に開かれた予定表が目に入る。
「っ!!」
セバスチャンはそれを見て、全てを悟った。
目が覚めるのも、薔薇を見て驚いたのも、全て1つの理由のせいだ。
「・・・今日は」
シエルの亡き叔母の訪問日・・・
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