黒執事

□気付いて、マイロード・・・
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「お早う御座います。坊ちゃん」


鳥のさえずりが心地よい澄み切った朝。

執事の役目は、坊ちゃんを起こす事から始まる。


「・・・ん、・・・もう朝か?」

冴えない目を無理矢理開け、身を寝台から起こしたのは、当家主人。

シエル・ファントムハイヴ

セバスチャンは、シエルが起き上がるのと同時に、その手にティーカップを渡す。

「今日は、最高級のダージリンでございます」

「・・・香りが良いな」

そう言うと、シエルは優雅にそれを口に運ぶ。


静かな朝は、坊ちゃんのお気に入りだ。



がしかし、


「シエル〜〜!!!!起きてるかぁ!!」

招かざる客のご登場。

「・・・朝くらい静かにしてろ」

「良いだろう?別に!!今日こそ米国を案内してもらうからな!!!」

そう言って、寝着姿のままのシエルのダイブして抱きつくのは、最近居候してきたソーマ王子。

セバスチャンは呆れ気味にソーマに近づき、シエルから離す。

「何をする!!カーンサーマー(執事)!!」

「坊ちゃんはお目覚めしたばかりです。少し待っててくれませんか?」

セバスチャンは苦笑気味に言う。

しかし、そんな言葉で頷くソーマではなく・・・


「別に良いだろう!!俺とシエルの仲だからな!!」

そう言って、さらに強くシエルを胸に抱く。

シエルは、飲んでいた紅茶が上手く下に行かなかったらしく、激しくむせた。


「大丈夫ですか坊ちゃん!!ソーマ様、強く締めすぎです」

「お前が悪いんだ!!俺は絶対シエルから離れない!!」


ソーマは、顔を赤くして咳き込むシエルをよそに、その柔らかいシエルの頬に顔を摺り寄せながらセバスチャンを睨む。



この人は、自分の立場を知らないですね・・・



セバスチャンは、ため息をつき、朝食の準備をする為、テーブルに戻る。


(ソーマ様に嫉妬する私は、何なんでしょうね・・・)



私だってこんなに坊ちゃんを想っているのに

身分で縛られる・・・


だけど、何も知らずにシエルと接しているソーマ様に、



嫉妬してしまう・・・
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