黒執事

□別の味
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「坊ちゃん?午後の休憩としませんか?」

「あ、セバスチャン・・・・そうだな」

ある午後の時間。鳥の囀りが聞こえる。

セバスチャンは近くのテーブルにに、ティーカップとポットを置き、菓子を置く。

(何時見ても、無駄な動きが無いな・・・)

それを眺めていたシエルは、ふと思った。

「今日は、いつもと少し変えた紅茶を作ってみました」

「へぇ・・・どんな?」

「飲んでみれば分かります」

セバスチャンは、紅茶の入ったティーカップをシエルに渡す。

「・・・これは」

甘い香りが鼻をくすぐる。

ゆっくりと口に含むと、それは・・・


「・・・・チョコレート・・・・?」


「さすが坊ちゃん。よくお分かりで」

セバスチャンが柔らかく笑いかける。

「分かるに決まっているだろ!!!この香りにこの味!!!ふざけてるのか」

「いいえ。とんでもございません」

「じゃ、何故わざわざチョコの紅茶を!!
菓子で十分だろうが」

「いつもと別の味にしたのは、特別だからですよ?」

そういうと、セバスチャンはシエルの座る椅子に近づく。

そして、ゆっくり、シエルの顎に手を添える。

「少しでも、貴方を甘く染めたかったから」

「なっい、意味の分からない事を・・・!!」

シエルの抗う言葉は、セバスチャンの唇によって塞がれる。

「・・・ン・・・セ、セバ・・・ッ」

次第に深く甘くなる口付け。

身体の力も抜け、身を任せてしまう。


セバスチャンは、シエルとの口付けで甘くなったその口で言葉を紡ぐ。








   「ハッピーバレンタイン」
         *
         *
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〜END〜

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