黒執事
□夢の続きを
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(怖い!!怖い!!誰か…)
暗闇の中、何かから逃げる。
何も無いのに、何かから逃げる…
それは、たぶん、
(自分の過去…)
逃げる、逃げる、逃げる…
更なる、暗闇へ−−−
「ハッ!!!!」
ベットの上、シエルは息を弾ませながら起き上がった。
手の裏には、じっとりとした汗を掻いている。
(また、あの夢…)
はぁ、と息をつくと部屋のドアが開いた。
シエルが顔を向けると、ランプを持ったセバスチャンが薄ら笑いを浮かべて立っていた。
「坊ちゃん?物音がしましたが、怖い夢でも見ました?」
「…気にするな」
つん、と澄ますと、セバスチャンが近づいてきてシエルの傍らに立った。
ランプの光が眩しい。
(でも、暖かい、温かい…)
シエルが目を伏せると、セバスチャンが笑みを含んだような声で言った。
「私は、いつでも貴方の傍に居ります。何処までも」
こんなやり取りは、いつもの事だ。でも、夜のこのやり取りは、違う気がする…
(あんな夢を見るからだろう)
シエルはシーツを被った。
セバスチャンの持つランプの光が温かい。
ヒトが、温かい…−−−