硝子玉〜新コラボ〜

□第1話
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月。
高校二年になった華凰院咲夜は教室の片隅で小さく、ため息をついた。
クラス替えも終わり、クラスメートとうちとけ、真新しい事など、とうに消えた。
よって、咲夜は暇をもてあましていた。
授業は数学。
時間は5時間目。
窓の奥の空へと視線をあげる。
気持ちいいほどの青空に白い雲。
(これは、寝るしかねぇーだろ・・・)
窓側の後ろから2番目の席に満足の笑みを残し、眠りについた。

「・・・ー夜、咲夜ぁー咲夜さんー?華凰院咲夜!」

「・・・あー・・・おはよう綾音」

「おはよう!咲夜君!もう数学終わったぜぃ。てか、短学活も終わったよ」

目の前にいるのは小鹿野綾音。12月からの咲夜の彼女で4月からクラスメートにもなった。

「まじ?あー・・・超寝てたなぁ」

「帰ろ−」

「おぅ」

そう、咲夜は返事をしてザックに荷物をつめる。
そして、綾音と共に教室を出た。

「・・・眠い・・・」

校門を出たところで咲夜はつぶやいた。

「いやいやいや、あなた、さっきまで寝てましたよ?眠り姫もびっくりだよ?」

「そこまで寝てねぇーって」

「まぁ。あれだね。しゅんみんあかつきをおぼえずだね!わかる、わかる」

「漢字で言え、漢字で」

綾音は「どーせ国語苦手ですよー」とむくれて、そして無邪気な笑顔で笑った。
知り合ったときから、この笑顔に、癒される。今まで何度か彼女をつくったことはあったが、綾音は特別な気がする。
いつも、自然体で接して、馬鹿やって。
それが、咲夜には嬉しかった。

「つか、綾音部活は?」

「休み−」

「サボりか」

「何故!?サボリ違!!正当な休みがよ!女バス全員や・す・み!!!わかる!?」

「わかった、わかった」

綾音は手をばたばたさせて、全否定する。
なんとも元気の良いヤツだ。

「咲夜はさぁー部活やんないの?」

「あぁ、家で部活じみた事やってるしな」

「剣道だっけ?」

「うん」

小さく口を開けて感嘆の息をもらし、咲夜を見上げる綾音。

「はぁー・・・なんだかスゴイよねぇ・・・」

「口調がおばさんだぞ」

「家で剣道やってますとか、かっちょぇーやん」

激無視された。このエセ関西人め。

「んな事ねーよ」

「んで、お父様は国際弁護士ですか・・・。どこの坊ちゃんだコノヤロー!!」

「華凰院家」

「ぐぉ!!ボケで返された!いやっこれはボケなのか・・・!?Why!?」

テンション高いなぁーと咲夜が思っていると、携帯が鳴った。
それは咲夜の携帯で着信音から電話だとわかる。


―ぞわ―・・・


背中に気味の悪いものが通った感覚。

「なんだ・・・?」

「え?どうしたの?電話でしょ?」

「あ、あぁ。ごめん」

ボタンを押し耳に近づける。
心臓が早く、大きく動いているのがわかる。

「はい・・・もしもし」
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