その他
□対象の愛し方
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賑やかな昼休み。
綱吉、獄寺、山本の3人は、屋上へと足を運んでいた。
涼しい風が頬を撫でて、通り過ぎていく。
近くでは、ボールで遊ぶ男子の声や、雑誌を眺めたり、雑談を楽しむ女子の声が騒がしく重なる。
「皆、元気だね〜」
口を開いたのは、暑そうに首もとのシャツを動かす綱吉だった。
それを聞き、パンを頬張っていた山本が笑顔で頷く。
「そうなのなぁ〜♪俺ら、絶対浮いてるよな」
その笑顔は、まるで暑さを吹き飛ばすような清々しさがあった。
しかし、
「お前、気安く10代目に話しかけんな!!!」
一方獄寺は不機嫌度MAXだ。
眉間に皺が寄り、見ているだけで寒気がしてきそうだ。
「獄寺くん。そんな突っ張んなくても・・・」
綱吉は、何とか獄寺を宥め様と声をかける。
その言葉に、一瞬獄寺の表情が和らいだ。
「10代目・・・」
「本当、獄寺ってツナ大好きだよな〜」
しかし、山本の心無い言葉に、獄寺の表情は一変した。
「何か悪いか!!!野球バカ!!!」
「だからその呼び方止めろって・・・」
落ち着いて、と綱吉が笑いかけるが、流石の獄寺も堪忍袋の緒が切れたようだ。
すくっ、と立ち上がり、後ろ髪を片手で掻きながら扉へと足を進める。
「ご、獄寺くん!?」
流石の綱吉も少々焦ったようだった。
山本は、口すら開こうとしない。
「ちょっと一息ついてくるだけです。すぐ戻ってき」
獄寺が振り返り、綱吉に言葉をかけた時・・・
目が合った。
何も喋らないが、ただ、何かを語りかけてくるような黒い瞳と。
山本の瞳と。
獄寺は、足早にその場を離れた。
(・・・・・・あいつの目、俺を見る時だけ違うんだよ・・・)
野球の時のように、真剣な目線。
鋭く光る視線。
顔が熱くなる。
しかし、それを信じないかのように首を激しく振り、その場を立ち去ったのだ・・・
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