その他

□対象の愛し方
1ページ/3ページ

賑やかな昼休み。


綱吉、獄寺、山本の3人は、屋上へと足を運んでいた。

涼しい風が頬を撫でて、通り過ぎていく。

近くでは、ボールで遊ぶ男子の声や、雑誌を眺めたり、雑談を楽しむ女子の声が騒がしく重なる。


「皆、元気だね〜」

口を開いたのは、暑そうに首もとのシャツを動かす綱吉だった。

それを聞き、パンを頬張っていた山本が笑顔で頷く。

「そうなのなぁ〜♪俺ら、絶対浮いてるよな」

その笑顔は、まるで暑さを吹き飛ばすような清々しさがあった。


しかし、


「お前、気安く10代目に話しかけんな!!!」

一方獄寺は不機嫌度MAXだ。

眉間に皺が寄り、見ているだけで寒気がしてきそうだ。


「獄寺くん。そんな突っ張んなくても・・・」

綱吉は、何とか獄寺を宥め様と声をかける。

その言葉に、一瞬獄寺の表情が和らいだ。


「10代目・・・」

「本当、獄寺ってツナ大好きだよな〜」


しかし、山本の心無い言葉に、獄寺の表情は一変した。

「何か悪いか!!!野球バカ!!!」

「だからその呼び方止めろって・・・」


落ち着いて、と綱吉が笑いかけるが、流石の獄寺も堪忍袋の緒が切れたようだ。

すくっ、と立ち上がり、後ろ髪を片手で掻きながら扉へと足を進める。


「ご、獄寺くん!?」

流石の綱吉も少々焦ったようだった。

山本は、口すら開こうとしない。


「ちょっと一息ついてくるだけです。すぐ戻ってき」

獄寺が振り返り、綱吉に言葉をかけた時・・・



目が合った。





何も喋らないが、ただ、何かを語りかけてくるような黒い瞳と。


山本の瞳と。



獄寺は、足早にその場を離れた。



(・・・・・・あいつの目、俺を見る時だけ違うんだよ・・・)


野球の時のように、真剣な目線。

鋭く光る視線。



顔が熱くなる。


しかし、それを信じないかのように首を激しく振り、その場を立ち去ったのだ・・・







次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ