贈り物の部屋
□泉様に送る
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ココロの真ん中で
暗闇の中、野分は夜のベットの中で目をゆっくり開けた。
目を擦り、横を見る。
そこには、子供の様に音音を立てて眠っている上條が居た。
(いつのまに、ねてたんだ・・・?)
野分は時計を見上げる。
25:30
もう真夜中だ。
確か昨日は、ヒロさんと飲んで、それで・・・
っ、と頭の痛みを覚えたので、きっと飲み過ぎだったのだろう。
ふと、野分は身体を起こし、前の窓を見る。
月明かりがベットを照らし、眩しく光る。
その光は、上條と野分を包み込む。
(本当に、こう見ると、ヒロさんは可愛い)
いつもの様に、意地を張っているところも可愛いが、大人しく子供のようなヒロさんも、野分は大好きだ。
(きっと、こんなヒロさんを知っているのは、俺だけだろうな・・・)
ヒロさん自身も知らない。
俺だけが見れる、ヒロさんの素顔。
「・・・ンッ・・・・」
「ヒロさん・・・?」
「・・・・・・・・・の、わき?」
上條はゆっくり身体を動かし、頭上の野分の顔を見上げる。
(起こしてまったのか・・・?)
「今・・・何時?」
「もう夜中ですよ。寝ちゃったんですね」
「そう、なのか・・・」
上條は、目が少しずつ冴えてくると、野分に習い身を起こした。
「月、綺麗だな」
「はい、とっても・・・」
野分は、上條の顔を見た。
細身の身体のライン。整った顔。細く真っ直ぐな髪。
その全てに月明かりがあたり、さらに上條を引き立てる。
(ヒロさんは、この月を見て、何を想っているのだろう・・・)
もし、自分の事を想っていてくれてたら・・・
(なんて、自惚れてもな・・・)
「なぁ、野分」
「は、はい。何ですか?ヒロさん」
いきなり声をかけられ、野分は驚きながら、首を傾げた。
上條は、視線を月から外し、野分と逆の方向を見る。
「この月見て、お前、何想った・・・?」
あっ・・・
「お、俺さ、いきなりお前が浮かんできてさ。いつも、俺を支えてくれる、て言うか・・・そこら辺が、月とかぶった・・・」
この人の中にも、俺が居る。
そう思った。
「お、お前は誰が、その・・・浮かんだ?」
あぁ、
この人のココロの中にも、俺がちゃんと居る
「・・・お、おいっ!!いきなり抱きつくな!!!」
「ヒロさんです」
「はぁっ!?」
野分は、嬉しさに身を任せ、上條を強く抱く。
「俺も、ヒロさんを想ったんです」
月明かりが、さらに増す・・・
* * *
いつまで、こうしていれるのだろうか。
もしかしたら、そう長くないかもしれない。
でも、
ココロさへあれば、いつでも繋がっていられる・・・
そう、思った。
〜END〜