Main2

□競争
1ページ/4ページ




「なぁ弟」
「何だ兄弟」
「前から思ってたんだけどな」
「あ?」
「聞いていいのか迷ってたんだが」
「はぁ」
「いい加減気になるんでな」
「ほうほう」
「怒らないでくれると助かるんだけど」
「ふんふん」
「聞いていいか」
「はいはい」
「お前さ」
「ああ」
「そんなに金が無いのか?」
「殺されてーのかてめえは」



競争



放たれる幾弾ものバスターを高く跳躍して避けながら、クラッシュマンは不服そうに
頬を膨らませた。たん、ともう一回床を蹴り、一番高い場所に着地する。
「ちゃんと怒らないでくれると助かるんだけどっつったじゃないか」
「ふっざけんなだから何だってんだ、何つー無礼なことぬかしやがる!」
てか相変わらず機体重の割に腹立つ駆動力だぜ! と繋げながら、フラッシュマンは
バスターの連射をやめないまま走り、クラッシュマンのいる位置から身を隠すために
障害物の一つの裏に滑り込んだ。背を壁に預け、様子見のため出方を伺う。
高い位置をとられた以上、下手をしたら弱点武器であるクラッシュボムの直撃と
その余波まで食らわされるからだ。
しかしクラッシュマンは間を置かずそのまま壁ぎわに走って勢いをつけ、崖になっている
場所から飛び降りる直前に思い切り壁に回転するドリルを突き刺した。
助走の勢いと彼自身の重さで、線を描くように壁面を抉りながら勢い良く一気に
一番低い床へと降りる。
足が届く位置までくると腕を引きぬき、床に転がり落ちた。僅かの間、勢いを
殺すために床と足とを擦れさせながら体勢を戻し、そのまま障害物に背を預け
隠れていたフラッシュマンの前に回り込んだ。
フラッシュマンが目を見開く。咄嗟に下がろうとして、しかし背後の障害物に遮られた。
「っげ、この馬鹿ハト!!」
「もらった」
いきなり目の前にあらわれた朱色に慌てて右腕を構えるフラッシュマンを視界に
納めた瞬間、クラッシュマンが突進するようにまた床を強く蹴る。
一気に間合いを詰め、フラッシュマンのバスターが発射されるよりワンテンポ早くに
クラッシュマンの右のドリルが青い装甲の横、がきんと障害物に深く深く突き刺さった。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ