Main2

□信号2
3ページ/10ページ




がしゃんと耳障りな金属の接触音がなり、徐々に音を無くしながらガードロボが
倒れて動かなくなる。
クラッシュマンの両のドリルの先からどろりとオイルが滴った。
先程クラッシュマンやメタルマン、フラッシュマンの三人が倒した敵機体の屍は
空からの爆撃で粉々に砕かれたが、その上にクラッシュマンがまた無機質な屍の
山を築いた。敵機体にドリルを突き刺してはなぎ払い、光弾をその身に受けても
構いもせずに次の獲物に両腕の凶器を向ける。
視覚システムを真っ赤に染めて、思考も感情の起伏も無くしてクラッシュマンは
完全に暴走状態にあった。
暴走したクラッシュマンは怯むことなくひたすらに敵を破壊している。
しかし、論理回路が機能していないため敵の攻撃から退くことも避けることも
防ぐこともせずに身に受けながら攻撃を繰り広げているため、受けたダメージが
じわじわと機体に蓄積してきていた。
敵のガードマシンの数は減少傾向にあるが、クラッシュマンもまた蓄積ダメージと
残存エネルギーが少なくなってきたことで若干動きが鈍くなってきていた。
敵機体を地面に沈めようとドリルを突き刺しそのまま地面へと叩きつけた瞬間、
俯いた隙を狙われ敵の放った光弾を顔面に受けた。
衝撃にぐらりと仰け反る。
しかしすぐに態勢を戻し、光弾を放った機体に無表情な顔を向け、狙いを定めた。
またいくつか放たれた光弾がクラッシュマンの肩や胸部に被弾するが、たじろぎも
せずにそのまま近づいていく。まとわりつく敵機体を貫き蹴り倒し踏み潰し、
撃ってくる敵機体まで一気に跳躍した。跳んだクラッシュマンの頭部のバイザーに
光弾が直撃し、とうとうバイザーにひびが入る。
しかし勢いが殺されることはなく、バスターを撃っているその敵機体の頭部、
次いで胴体部をクラッシュマンのドリルが上から貫いた。
プロセッサが完全にいかれたのだろう、貫かれた敵機体は制御を失ったように
バスターを何に向けるでもなく無意味に連射しながらくずおれ、アイセンサー
から徐々に光が失われていく。
仕留め機能停止した敵機体にはもう何の興味もないらしく、クラッシュマンは
視線も向けずただの金属の塊と化したそれからドリルを引き抜こうとする。
しかし、その隙をついて敵機体たちがクラッシュマンに掴み掛かった。
咄嗟に右腕をとられ、クラッシュマンがバランスを崩す。
次の瞬間、押さえられた腕の間接部に数体がバスターを集中的に放った。
装甲に覆われていない部位に光弾がいくつも直撃した衝撃にクラッシュマンの
機体が後ろに傾き、堪えようとしたが失敗して膝をつく。
損失にはいたらなかったものの、右腕のドリルが上腕との金属骨格や配線の
僅かな繋がりを残してぶらりと垂れ下がった。
それを引き千切ろうと、敵機体たちが掴んだ腕に力を入れる。
しかし、クラッシュマンはすぐにそれらを左のドリルで突き刺し、払い除けた。
そして、だらりと垂れ下がる右腕の間接部のなれの果てに、邪魔だと言いたげに
ドリルをあてる。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ