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□信号2
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信号1の続き



信号 2


聴覚センサーがいかれそうになるほどの轟音が、地響きとともに鳴り響いた。
「っ!?」
突然の音に驚いて、爆撃の衝撃から漸く立ったクラッシュマンが後ろを振り向く。
自分からは少し離れた位置だが、崖が崩壊して岩が次々と落ちてきていた。
砂塵が舞い上がり立ち上る。
音に驚いていた表情が、音の方向を確認した途端視覚システムを見開いた。
急激に襲う焦燥に、しかし機体は凍り付く。
(さっきまでメタルとフラッシュがいた方──!?)
「な…、うわっ!?」
焦り、声が出るがその途端にクラッシュマンの機体を崩落の衝撃に吹き飛ばされ
てきた砂煙が包み、視界を砂塵が覆いつくした。
音の出所の方には長男と六弟がいたはずだった。落石に、まさか巻き込まれては
いないだろうか。そう思い、慌ててクラッシュマンが兄弟二人の名前を呼ぶ。
「メタル、フラッシュ!! 大丈夫か!? 二人とも無事か!?」
砂煙の中で大声を上げるが、二人からの返事はない。崩落場所の方に駆け出して
みるも、いまだガラガラと瓦礫が小さく擦れる音が聞こえるだけだった。
右を見ようが左を見ようが、上を見ようが振り返ろうが、辺りには砂煙しか
クラッシュマンには視認できない。
「っ……!」
どうしよう。
どんなに進んでも砂塵が舞漂い瓦礫が転がっているだけで、自身の兄弟機は
影も形も見つからない。
先程までさほど気にしていなかったが、件の通信も相変わらずできない。
崩落場所付近まできたが、小さい岩がまだ崩れていた。自身に当たりそうになる
それをドリルでなぎ払う。
時を追うごとに焦燥感がクラッシュマンを襲った。
長兄と六弟の護衛のために自分は彼らと同行したのに、肝心の二人が危険な目に
遇ってしまった。先程の爆撃で受けただろう損傷も、自分のダメージの比では
ないだろう。そのうえでこの落石に巻き込まれでもしたら。こんなときの為に
自分はいるというのに。そう思いながら、クラッシュマンは藻掻くように辺りを見回した。
「メタル、フラッシュ!? どこだ!?」
クラッシュマンが大声を上げるが、しかしそれに対しての返答はやはりない。
二人ともシステムダウンしているのか、機体信号も感知できない。
「っ……!!」
どうしよう。
兄がいない。弟もいない。焦燥で排気が荒くなる。岩の下敷きになった兄弟機の
姿が回路を一瞬掠めては、クラッシュマンはそれを全力でデリートした。
役割である護衛を、自分は失敗った。その突き付けられる現実に軽くパニックを
起こしそうになる。

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