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網膜に映るは知り得ぬ類



呼ばれた声に、目をあける。
目を見開いて、立ち上がる。
かざされる手を追って、歩み寄る。
しかしその手からは数歩さがったその位置で、自分達は立ち止まって声を待つ。
それをみて、手の持ち主は口角を上げる。
前にあるのは小柄な、しかし尊い何者にもかえられない唯一の背。
無二のそれを見つめては、自分の指先一つで活動を止められるその存在にしかし
機体中が歓喜のパルスで満ちた。
ああ、全ては目の前に悠然と存在する者の為に。
その夢の為に。
野望の為に。
他ならぬ貴方だけの為に。
貴方が造り上げ愛したこの身を愛しそして捧げよう。
同じ物を見たとして、それが持つ色を決して共有できないとしても。
同じ物に触れたとして、それが持つ温もりすら決して同じに感じないとしても。


おわり
10年5月12日 更新

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