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□反応
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黄色に縁取られた青い装甲からすらりとのびる、濃いグレー。
鈍く光を反射するそれは、室内の明かりに照らされてとろりと艶めいている。
ふわりと丸みを帯びた線はなだらかに続き、そして黄色と青に彩られた装甲へと続く。
内部構造を外的要因から包み守るための、装甲とはまた別に兄弟機全員に施されている外装。
特に気にするものでもない何の変哲もないその部分は、しかし素材が持つ柔軟性からくる
独特の感触を持っている。

その兄弟機たちの中でも、と彼は思う。

彼はぼんやりと回路の片隅で考えながら、とある一点を見つめていた。
先程から何故かある機体のその部位が妙に気になり、アイセンサーの焦点が
そこで止まったまま動かない。やたら気になる。
どうも他の機体とは違うように見えるのだ。
その機体だけ別に特別仕様な訳ではない。何か素材変更のメンテナンスをした
訳でもない。若干の固体差は勿論存在するが、特筆して違う点がある訳でもない。
見慣れている筈のその機体のそこが何か変わったわけでは決してないのだが、
彼は気になって気になって仕方がなかった。
知らず誘われているように、赤い手がその部位へと自然と近付けられる。
気になるのなら、確かめてみればいいだけだ。回路の中のどこかでそう呟きながら。

ふにゅ。

「ひぎゃっ!?」

クイックマンが、フラッシュマンの太股を掴んだ。



反応



「てんめ、いっきなり何しやがる!」
基地内の広間の中、ソファに座ってフラッシュマンはのんびりと趣味の品である
カメラを弄っていた。曇りの天気で雨が降るわけでもなさそうなのに厚い雲が
空を覆い隠しているため、光が一定なときにしか撮れない、普段なら日光に
左右されてしまうようなものも今なら撮れると思い何を撮ろうかと考えながら、
カメラの状態を見ていたのだ。
しかし、そんな平和だった午後の静かな広間の中、フラッシュマンの怒号が響いた。
フラッシュマンの太股を突然、彼の二つ上の兄機体が掴んできたのだ。
「いや、何か妙にふにふにしてそうに見えんだよ、お前の脚。だから確かめに」
「確かめんなだぁほ!」
突然弟機体の太股を掴んだ当の本人のクイックマンは、怒る六弟を余所に平然と
した様子で述べた。即座にフラッシュマンが四兄に切り返す。
ナンバーズの腹部や大腿部には動くのに柔軟性が必要なためと、何より内部を
守るために衝撃吸収用の保護材が施されている。
クイックマンは、六弟のその保護材が施されている大腿部が何故だかひどく
柔らかそうに見えたという。



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