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□伝達4
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伝達3の続き




「………。ふーん。それで、何で僕の所に来るわけ」
「るっさいな、勘弁しろよ…」
呆れ切ったバブルマンの声に、赤い機体が気まずげにふいと視線をそらした。
赤い機体、クイックマンの返事に、バブルマンは大きく溜め息を吐く。
「こっちこそ勘弁してよねー。つかどーしてくれんの、これじゃ共犯扱いの可能性大だよ。
 メタルブレード飛んできたら僕マジで洒落にならないんだけど」
「悪かったって。……けど行くとこなかったんだよ」
どこかふてたように言い、クイックマンは渡されたE缶を啜った。
クイックマンは今、バブルマンの基地に来ている。海流調査の為もあり、自身の基地に
滞在していたバブルマンは突如姿を現した家出状態の弟機体に酷く面食らった。
本来ならば直ぐ様本基地へ報告をすべきなのだが、その困り果てたような姿に
命令違反となるとはいえ、取り敢えず基地に招き入れたのだ。
しかし、フラッシュマンの基地に行った下りの話を聞くにつれてバブルマンは
機体の力ががくりと抜ける感に襲われた。
ごろり横になり片手を枕にした、休日のお父さん、と言った状態で、バブルマンは
床に座っているクイックマンをじとりと眺める。
「はぁ。そりゃあ、無断脱走までして謝る為と話をしに会いに行ったつもりが、
 何と仕返しみたいな形で殴り返してきました。なんてことしでかしたってんなら、
 それはそれは行くとこないでしょうねー」
「棒読みで言うな。あとオブラートに包め少しでいいから」
「おや、ボキャブラリー増えたね」
六弟のように皮肉を交えてバブルマンが言うと、クイックマンは弾かれたように顔を上げた。
「だって俺は! ただ、あいつの口からきちんと聞きたかっただけで…っ、なのにあいつ、
 まともに話もせずにただただ帰れの一点張りで…!!」
「お前の思い切りの良さと行動力は評価するけどね、クイック」
話を遮るように言いながら、バブルマンはよっこいしょと機体を起こした。
声に厳しさを滲ませ、連番の赤い弟機体を真っ直ぐ見やる。
「あのね。考え無しに突っ込むのも、時と場合だよ」
「………っ」
「どうしてメタル兄さんの判断でフラッシュが管轄基地への無期限滞在になったか。
 それは破損したお前と距離を取るためと、お前たちの頭を冷やすためだよ」
バブルマンの真面目な雰囲気に気圧されて、クイックマンがぐっと詰まる。
「大体ね、お互いの性格を考えな。お互い頭冷やしきらないうちに会ったところで、
 いい方向に向かないのは火を見るより明らかだろう?」
素直な四弟は真正面からぶつかる。六弟は絶対に素直には応じない。正反対の性格が
今対面したところで拗れるのは目に見えている。バブルマンはそう思った。
「…う………」
クイックマンが返す言葉が見つからないのか、視線を床へ落とす。その様子に、
バブルマンはうーんと腕を組んだ。
(まぁ、今叱ってもしょうがないか…)





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