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□つき
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《ご注意》
・Ress&Memoに垂れ流していた猫の日ネタ纏め。苦手な方はご注意下さいませ。







いつもと違わぬ、切り付けるような鋭い目付き。
整った顔立ちのそれは、本人が意識しなくともただ表情を浮かべないだけで威圧感を醸す。
豪奢な赤。輝く金。それらを遺憾なく引き立てる黒。鮮烈な色彩。
大柄に類する機体で堂々と立つ様は、それだけであたりをかき消しそうな程、圧倒的な存在感を放っていた。

それなのに。








それなのにまさか。
そのいつもと違わぬ姿で。
至極真面目くさった顔で。
その他でもない兄弟機が。

「にゃあ」

そんな声を零す日がこようとは、フラッシュマンはバグとしてですら予想だにしなかった。








「何やってんすかマジで何やってんすか博士……」
「なんの。合意のことじゃて」
はっはっは、と朗らかに笑う父に、フラッシュマンはがっくりとうなだれた。
その傍には、クイックマンとクラッシュマン、ヒートマンの三機体がいる。
クイックマンは立ったまま、会話をしているワイリーとフラッシュマンを眺めているが
クラッシュマンとヒートマンは床に座り込んだり寝転がったりして何やら戯れていた。
そんな暖色系の息子たちを横目に、ワイリーは目の前の青い機体に語り掛ける。
「わしゃお前たちに特段スペック差を付けたつもりはないからのー。苦手分野もあれど
 だからとて全く改善しないわけにはいくまいて」
「それはいいんです。それは俺も大賛成です。改善には何の文句もないんです。問題はそこじゃないんです」
「お前やメタルの負担も軽くなるじゃろうと踏んでのことで、こやつらも理解してのことじゃ」
「こいつらはただ単に面白がってる可能性大ですが、それは本気でありがたいんです。でも大問題があるんです」
ポジティブに言うワイリーに、フラッシュマンは淡々と首を横に振って否と訴えた。
彼の二体の兄機体と弟機体は、今はワイリー直々にウイルスを入れられていた。
というのも、デジタル系を殊に苦手とするこの三機体への特訓であるのだが、
それだけならフラッシュマンも大歓迎のことなのだが、如何せん大いに彼を悩ませている点がある。
この三機体に共通している普段と違う点は、何故か「にゃあにゃあ」と鳴いていることと、
そして耳としっぽが付属されているということであった。
「何してんすかマジでー!!」
「合意合意」
大声を上げて何度目かの突っ込みをするフラッシュマンに、ワイリーはまた快活に笑う。
「何でまたそんなアホなウイルスわざわざ組んだんすか!つか耳としっぽは確実に
 いらんでしょうあんた何無駄に遊んでんだ!!」
「ユーモアじゃよユーモア」
「んだああもう!」
埒が開かない、と頭を抱えるフラッシュマンに、ワイリーはやはり楽しそうに笑いながら
六番目の息子をポンポンと撫でた。
「なーに、軽い、というか殆ど無害に近いバグウイルスじゃよ。外装弄ったのは
 確かに悪ふざけじゃが、今日一日データをみるだけじゃ。心配はいらんよ」
「…………」
父が言うならそうなのかもしれないが問題はそこじゃない、と内心不貞腐れるが、
フラッシュマンは言ってもきっと流されると思い回路で零すだけにする。




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