Main2

□勝手3
2ページ/7ページ






しかしメタルマンとエアーマンの思惑を外れ、バブルマン帰還を待つはずの時間は、
ウッドマンの通信によりたったの数日で、思いの外早く終わりを告げた。




その日、ウッドマンは管轄基地から帰還してきたばかりだった。
フレンダーの部品交換を終え、交換したパーツを部下数体と運びながら、これを近日中に
再利用を目刺し手入れしなければと倉庫に運びいれていた。
それが終わると、部下に労いの言葉をかけ、一先ず解散させる。いつもならそのまま
森に出かけるのが常だったが、ふと基地内が気になり、ウッドマンはぶらりと足を基地内部に向けた。
同じく倉庫が連なる、しかし反対方向にある場所へかつりと足音をならす。
────面倒見のいい兄が雑務含めた仕事をボイコットして、数日経過していた。
ウッドマンは回路で呟く。
(ほんと、どうしたんだろうな…)
次いで、ふう、と溜め息を吐いた。
暫く姿を見ていない、六兄の姿をメモリから呼び出した。
愚痴をたれては仕事をこなす姿をずっと見てきた身からすれば、はっきり言って
今回のボイコットは自身が稼働して以来、初めての事態といってよかった。
そのくらいの異常だが、逆にだからこそいい加減嫌になったのかもという可能性があった。
(………でもなぁ…)
しかし、兄は適度に手の抜き方というか、休み方も心得ているようだったので、
それも何だか違うような気がウッドマンにはしていた。しかし、じゃあ何なのかというと答えは思いもつかない。
しかし、基地内の規律を乱すような行為を、長兄次兄の次くらいに気を遣っているはずの
六兄が起こすのはやはりどうも異様だった。
(………まぁ、僕じゃ、考えても分かんないけど…)
長兄と次兄の判断は、一先ず任務に支障をきたさない限りは静観。
ウッドマンはそれに反論を持たずに表向き従ったが、内心ではどうかと思っていた。
(……静観、するしかないのは分かるんだけど、もうちょっと何かこう、うーん…)
静観しつつも、その問題を起こした兄が心配でないわけではなかった。
姿が見えなくなる前から感じたのは、不自然に苛立った様子。周りから遠ざかる異様さ。
近づくものを突っぱねる、いっそ孤立しようとする不可解さ。
それは何かを隠そうとするようでもあった。
(でも、仮にそうだとして、じゃあ何を隠すっていうんだ? 最後に出た任務は
 クイック兄ちゃんとのペア任務。あれは普通に成功し終えて、帰還した。
 その後は最初普通だったけど…まぁそのあとくらいから、様子が変になったか…。
 けどだからって、何かを隠すって仮説へは繋がらない)
自身の思考へ問いを投げ掛けつつ、しかしやはり導きだせない答えに腕を組む。
首を傾げながら、ウッドマンは西へ足を進めつつ唸った。
「…………うーん」
聞けば早いんだろうけど、聞いても答えてもらえないだろうなぁ。
少し寂しく思いながら、ウッドマンはいつの間にか辿り着いた、フラッシュマンが
引き籠もるのに使っている倉庫前まで来た。
頑強な扉は威圧感をもって堅く閉じられており、普段使われない故に薄汚れていた。
その前にウッドマンは立ち尽くし、反応してもらえないだろうからと思い、
声をかけることはせず、通信機も作動させない。
しかし、存在を確かめたくて機体信号だけは感知する。
間違いなくいる、青い機体。扉を見上げ、眉間にしわを寄せた。
来たはいいが、さてどうしたものかと、何度目かの疑問を回路に浮かべ、何とか状態を少しでも知る術が無いか考える。
「あ、そうだ」
そしてふと思いついて、サーモグラフィ機能を呼び起こした。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ