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歩いているうち、すぐに目的の部屋へとたどり着いた。
場所はエアーマン自身の部屋。
ベッドがあり、静かで、フラッシュマンを寝かせられるスペースがあり、エアーマンも入室可能な場所。
条件を考えればもうここしか当て嵌まる場所がなかったのだ。
自身の部屋へアクセスコードを送り、プシュンとドアがスライドする。
エアーマン自身が非常に大柄なため、寝台は最も大きな型に類していた。
なので、小柄とは言い難いフラッシュマンを寝かせても充分に余裕がある。
自身の寝台に、自身とは違う青い色を寝かせて上掛けをかけてやった。
フラッシュマンは寒さに弱いわけではないが、下手に機体が冷えるとエネルギー循環が滞ってしまう。
安らかに眠る表情に、これでいいとエアーマンが機体を起こして離れようとする。
と、しかし何やら違和感に視線を落とした。
見ると、フラッシュマンの右手が控えめに自分の手を────引っ掛かっている
かのような力加減で────掴んでいる。
少し固まるが、また「ふむ」と呟いて、エアーマンは寝台に腰掛けた。
世程熱源が心地よかったのだろう。無理に放そうとせず、起きるのをゆっくり待つことにする。
今日の予定は全て済んでいるため、問題はない。
しかし隣に横たわり懐炉代わりになれるほどのスペースはないので、このままの体勢でいることにした。
ゆっくり眠るといい。
そう思いながら、手を包むように握ってやる。
白い手が、ゆるい力で握り返した。


起きたフラッシュマンが顔色を赤くしたり青くしたりして軽くパニックを起こすことと、
エアーマンがフラッシュマンを部屋に運び入れるのを目撃したクイックマンが
微妙に挙動不審に陥るのは、この後のこと。



おわり。



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