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□ハロウィン・パーティー
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「似合うのう、お前たち。しかし何でメタルは白衣なんじゃ?」
息子たちの様子を見たワイリーが、とりあえず浮かんだ疑問を口にする。
最初の息子は、複雑そうな、はっきり言って泣きそうな顔で父に訴えた。
「フラッシュが、バブルの差し金で、お前はコレしかないだろう歯医者って!
 バブル、いい加減笑うな、お兄ちゃん怒るぞ!」
「あははははは! でも似合ってるよメタル兄さ……ぶふっ、…くくっ…、あははははは!」
実はバブルマンは、昨日のうちに父が明日とるであろう行動を予測して、恐らく
買い出しに駆り出されるであろうフラッシュマンに、密かに相談していたのだ。
仮装の道具を買ってくるなら、是非とも長兄に白衣を、と。
先日、抵抗虚しく自分を抱えてダメージをくれた長兄に対する、バブルマンの仕返しであった。
フラッシュマンはそれに悪乗りし、歯医者と呼ばれることを厭う長兄をからかうことに同意したのだ。
ちなみに、そんなこと一切知らないウッドマンには欠片も罪はない。
「心外だぜ、お兄様。せっかく似合うと思って、選んできたのによ?」
フラッシュマンがいけしゃあしゃあと口にする。ご丁寧に悲しそうな声と顔で。
メタルマンがぎくっ、と肩を震わせた。しまった、という顔で六男に顔を向ける。
そんな彼らの様子に、やれやれ、という顔でクイックマンとクラッシュマンがため息を吐いた。
三男と六男にときたま恒例のように行われる、長兄弄りだ。
「やなら俺とかえようぜ? お気に召さなかったんなら、仕方ねえ。何か俺、
 余計なことしたみてえだし? 気のきかねえ弟で悪かった、メタル」
次々に辛そうに、申し訳なさそうに言葉をつらねる弟に、メタルマンが半泣きで首を振った。
「違っ…そんなことないぞ、フラッシュ!!」
可愛い弟機体の一人に、悲しそうにそんなことを言われ、長兄は焦って否定する。
「俺のためなんだろう、嬉しいぞ!?」
「……っぶはっ! あーっはっはっはっはっは!!」
もはやヤケクソ気味にメタルマンが叫ぶと、その様子にバブルマンがまた盛大に吹き、笑った。
「よし、なんかしらんが、ではとりあえず宴会じゃ!」
ワイリーが適当に纏めて声を上げる。
仮装していても、実は飲む口実がほしいだけなんじゃ、とは口には出さず
フラッシュマンは父の様子に笑みをこぼした。
ロボ桜と書かれたビンを兄弟機たちが掲げる。
父が許してくれるのだから、皆でとりあえず浮かれ騒ごう、と笑う兄弟の輪に
フラッシュマンも加わる。
「ねえみんな! トリックオアトリート!!」
ヒートマンの楽しそうな声が響いた。
「クラッシュボムはもうダメ」
「抵抗するだけ無駄だと思うぜ、兄弟?」
「そうそう、いたずらに基地に火着けちゃうよ?」
再度あっさり返すクラッシュマンに、フラッシュマンが呆れたように言う。
そんなすぐ上の兄の言葉にヒートマンが物騒な言葉をつけて同意する。
「やめなさい、ヒート!」
メタルマンが、今度こそヒートマンを叱り付けた。




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