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□みやげ
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何に喜ぶ、何を喜ぶ。
答えはすでに知っている。



みやげ



「おっ、あの娘かーわいー、若いじゃん」
「フラッシュ、任務中だ、やめろ」
「へいへい」
大きな都市の、とある研究施設内で、潜入中とは思えない不謹慎な言葉がフラッシュマンの口から出た。
いくら弟好きなメタルマンでも、任務中はしっかりと役割をこなすために、弟を諫める。
今回の任務は、二人がかりでの潜入、およびハッキングだった。
時間を止める能力をもつフラッシュマンがその能力を使い、施設内に侵入。
高い機動力と俊敏な動作、すぐれた跳躍力をもつメタルマンがフラッシュマンを
フォローし、静かに侵入経路を進む。
その後メインシステムにハッキングし、第二部隊の合流を待って離脱、という内容だ。
この研究施設にハッキングのあと待っているのは、容赦ない破壊である。
ここまでは、よくある合同任務内容だ。しかし今回は少しだけ違う。
この研究施設のセキュリティシステムは、ややこしいことにハッキングに対し
何重ものプロテクトがかかっていた。
それだけなら他の研究施設と大差なく、メタルマンや、兄弟機のなかでも最もハッキングを
得意とするフラッシュマンによってデータ奪取は簡単に行えるのだが、問題は
プロテクト突破後にあった。プロテクトがすべて突破された場合、データ流出を
防ぐために、瞬時にデータが崩壊するよう自爆プログラムが組まれている。
そのため珍しく、二人がかりでハッキングを行うことになったのだ。
片方が、プロテクトを破ることでセキュリティシステムに警戒心を呼び起こさせ、奥底に眠る自爆プログラムの隠れ場所を割り出す。
控えていたもう片方が、割り出され、誘いだされた自爆プログラムを実行される
前にとらえ、データを崩壊させるより早く焼き殺す。
その後、システムの制圧。
そのために、ハッキングに優れた二名での潜入となかった。
「それにしても、ややこしい造りだぜ」
「エアダストだからな、この侵入経路は」
細く、本来通路ではない侵入経路を行きながら、フラッシュマンは面倒臭そうに愚痴をこぼす。
その弟の愚痴にメタルマンが答えた。
「お、あの娘も可愛いじゃねえの」
「さて、フラッシュ? そろそろメタルブレードが欲しいのか?」
「冗談じゃねえ」
ちょいちょいと、ばれない程度に監視カメラのシステムに侵入し、視覚回路を
リンクさせて遊んでいたフラッシュマンに、メタルマンが弱点武器をちらつかせて脅す。
任務中は、長兄は厳しい。
そうこうしてるうち、メインシステムにつながっている太いコードが何本も
絡み合っている場所に出た。ハッキングのための目当ての、メインシステムの
整備用パネルのある場所だ。
「んじゃ、お仕事しますかね。先に頼むぜ、メタル」
「ああ、上手くやってね、フラッシュ」
整備用パネルの外枠をこじ開け、メタルマンが右手から、フラッシュマンは左手から
コードをのばし、接続する。
先にシステムに侵入し、プロテクトを破っていくのはメタルマンの役割だ。
切れ者の長兄は、次々と壁を突破していく。
セキュリティシステムが異常に気付き、ハッキング相手への攻撃プログラムと、
さらなるプロテクトが実行されるがしかし、そんなものをものともせずにメタルマンは
たやすく確実に深く侵入していった。





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