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□いろいろ
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まわりがどうだとか、気にしたわけでは決してない。
だけど己と彼だけなのは、それは確かな類似の事実。



いろいろ



「兄ちゃんたちって、赤が多いよね」
ふと、末弟のウッドマンが口にした、兄弟機の機体色についての言葉に、まわりが
ああ、と声を上げた。
「メタル兄さんにクイックとクラッシュか、八人中三人って、確かにそーだねぇ」
「僕にも赤い色はあるけど、どっちかっていうと黄色が目立つかな?」
のんびりとバブルマンが引き継いで答え、メタルマンの膝のうえのヒートマンが意見を述べる。
「あとは…、ばらばらか? バブルは緑、ウッドは檜色…」
「ねえメタル、エアーとフラッシュは青じゃない?」
「エアー兄さんとフラッシュは青だね。エアー兄さんは落ち着いた濃い青で、
 フラッシュの方が黄色が散らばって派手だけど」
そういえばあの二人は色が似てるんだなぁ、とバブルマンは呟く。
だからどうした、と言いそうなその二人は、ちょうど出かけてしまっていてここにはいない。
「じゃあ、博士は?」
ぼんやりと聞いていたクラッシュマンが父の色を尋ねた。
「博士は、白と黒かな」
「そうだな、白衣だしよく黒いネクタイまいてるし、サングラスがお好きだし」
「ふーん、そうか」
ウッドマンが答え、メタルマンがさらに細かく答える。
「よう! 引きこもりども」
「あっ、お帰りー」
「誰が引きこもりだよ、燃やすよ」
そこに、クイックマンが部屋に入ってきた。気持ち良く走ってきたらしく、ご機嫌な様子だ。
ヒートマンの不満げな声を聞き流し、ナンバーズが固まっているソファに歩み寄る。
「お帰りなさい、クイック兄ちゃん」
「おう、ただ今。何だおまえらグダグダと部屋のなかで…って、エアーとフラッシュは?」
キョロキョロとこの場にいる兄弟を確認し、クイックマンはいない者の所在を尋ねる。
「フラッシュは写真を撮りに。エアーはその道連れ」
「何でまた二人で?」
「任務のときに、気に入った場所見つけたんだって。エアー兄さんは送迎」
兄弟たちの説明を聞き、そうか、と納得したクイックマンはヒートマンに向き直った。
「エアーに頼もうと思ってたがいないなら仕方ない。ヒート、手合せ付き合え」
「面倒だからいや」
「ならお兄ちゃんが相手してあげよう」
「よし、逃げるなよ」
「逃げませんよー」
嫌がったヒートマンの代わりにメタルマンが名乗り出て、二人はトレーニングルームに連れ立つ。
クイックマンにつきあってやる、弟に優しいメタルマンはともかくとして、相変わらず
血気盛んだなクイック兄ちゃんは。と、ウッドマンはこっそり思う。
窓から空を見れば、濃いめの青が広がっていた。
(あ、エアー兄ちゃんの色に似てる)
青い二人はまだ帰ってこない。
まあ、すぐ戻るよね、と思いながらウッドマンは今日はクイックマンの手合せの
指名を受けなかったことに安心することにした。





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