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□たまにはいいじゃない
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抱えあげる弟に、バブルマンはにっこりと笑いかける。
「んじゃ、こっから頼むわ、弟よ」
「へいへい」
ここからエアーマンの待つ広間までそう距離はないため、歩けといわれれば別に
歩けるのだが、そこはギブアンドテイクだ。
(さっき、運んだからね)
ちなみにバブルマンよりフラッシュマンの方が体格が大きいため、左腕に腰掛ける
ようにしてバブルマンは抱えられている。
人間の兄弟の上の子が下の子を抱っこするような、所謂お子さま抱っこだった。



「兄貴、バブル兄貴見つけてきたぜ」
リビングとしても使っている広間に入り、フラッシュマンが大柄な青い機体に声をかける。
「すまんなフラッシュ。バブル、通信はきらんでくれ」
困るだろう、とバブルマンのひとつ上の兄、エアーマンは眺めていたパネルから顔をあげこちらを向いた。
「ごめんごめん。で、侵入経路、変更することになったの?」
ゆるやかに小言を流し、バブルマンが本題を口にする。フラッシュマンがバブルマンを
椅子におろし、自身も座る。今回はこの三人でつく任務だ。
「ああ、予定していたお前の侵入経路は施設内工事とやらで使えなくなった」
「うわ、面倒臭いなぁもう」
「警戒が強くなるがbの第25ならお前が侵入できる水路だと思うんだが、どうだ?」
「んーとね、そこより一本ずらして第24水路のほうがメインシステムに近くていーんだけど?」
今回侵入し、ハッキングしてくる施設の図面が表示されているパネルを眺めながら
バブルマンが意見を述べる。
「それだと余計に警戒が強いんだが」
「どちらにせよフラッシュが時間止めてる間なんだからいいじゃん、それに近いと離脱も楽だよ」
「俺の意見聞かずに他力本願やめてくんない、バブル兄貴?」
今回の任務はある研究施設から情報を盗みだすもので、ここからかなりの距離があること、
大きな施設で海が近いため太い水道管が多いこと、ハッキングを警戒して、警備
システムはマニュアルでしか操作できないなどの特徴があった。
エアーマンが施設近海上空まで海から侵入できるバブルマンと、施設上空まで
ハッキングに長けたフラッシュマンを自身の部隊で運び、フラッシュマンはタイム
ストッパーを発動させ屋上から侵入、バブルマンは時が止まっている間に警備
システムを切るというのが役割だ。
その後情報をいただいて二人して脱出、エアーマンの部隊で帰還という内容なのだが
警戒が薄くメインシステムに近い侵入経路が使えなくなり、バブルマンの役割に
危険度が増してしまった。



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