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□flotter
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それにさ、とメタルマンはさらに続けた。
「今は桜はまだだけど、梅とさくらんぼと桃の花が咲いてるから結構にぎやかで、
 桜がまだでも、ひと足早いお花見って感じでしょ」
「…………」
メタルマンの説明に、フラッシュマンは諦めたように肩の力を抜いて、しかしメタルマンの眉間をこづいた。
「あいて」
「そーいうことならせめて俺には事情を話してから連れてこいよ。ほぼ拉致だったじゃねーか。
 花見ったって、カメラ持ってこれなかったんだぞ」
「あーでも、話したら絶対着いていきたがるのが出るから言うなって博士のお言葉で」
「会話不可なら通信しろや」
「あー」
フラッシュマンの呆れたような突っ込みに、今度はメタルマンが声を上げる。
「思いつかなかったって顔するな」
「思いつかなかったんだもん。その手があったね、ごめんごめん」
「ったく」
ふてたようにフラッシュマンが顔をそらせば、メタルマンがするりとフラッシュマンの手に指をからめた。
「だって、ダメになる前に早く行きたかったんだよ。お前と」
「…ふん」
くすくす笑うメタルマンに、フラッシュマンも諦めたように力を抜き、倣って傍に寝転がった。
拗ねていた顔から不機嫌さを消し、フラッシュマンも空とまわりの花々を眺める。
メタルマンの言うように、確かに桜とはまた違い、色とりどりの花が咲き誇り、美しい光景だった。
手に絡む指に指を沿わせ、軽く握る。遠くで鳥のさえずりが聞こえた。
「いー天気だねー」
「そーだな」
会話以外は自然の音しかない、穏やかな空間。
それをじっくり味わいつつ、すぎる時間をただぼんやりと感じていた。
「ね、いい景色のなか、何にもしないでごろごろするの、好きでしょ」
「まぁな。寧ろ、それが嫌いな奴なんていないだろ」
「あー、んー…でも、クイックのあたりは嫌いなんじゃないかな」
「あー」
そうだな、とフラッシュマンが思わず同意する。
こつ、とメタルマンがフラッシュマンの肩に額を当てた。ほんのりと熱を交わしあう。
「…今頃基地どうなってるかなー。ほんと、ほったらかしてきちゃったからなぁ」
「ほったらかしっつか、でも、やることはやってるし、まぁ今は任務出てる奴らの帰還待ちって状態だし、
 待機組も博士がいるからバカはしないだろうし、大丈夫だろ。………多分」
語尾に若干の不安を残しつつフラッシュマンが言えば、メタルマンがうんうんと頷く。
「今よりによってストッパーになるエアーとバブルいないからねー」
「あ、けどエアー兄貴なら、比較的早めに帰還できそうらしいぞ。さっきデータ飛んできた」
「ほんと? バブルはウッドとの連携だけど湿地帯だからやり辛いって連絡来てたよ」
「あー足に負担くるなそれは」
次のメンテは泥洗い付きか、とフラッシュマンがカシカシと回路の中の予定表にメモを追加していく。
すると、メタルマンが小さくため息を吐いた。
「………んー」
「ん?」
「なんでかなぁ。ふふ、どうしても皆の話になるね」
「そうだな。てか、話題に出したのはお前だろ、メタル」
「そうだったね」
フラッシュマンが穏やかに突っ込めば、メタルマンはまたくすくすと笑った。
今日は本当に機嫌がいいらしく、ずっと微笑んでいる。





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