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□flotter
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「なぁ、めたる」
「んー?」
「んーじゃない」
「んー」
「んーじゃないっつってんだろ」
「なーにー?」
「俺及びお前が置かれている状況を迅速に端的に且つ明確に説明せよ」
「補給して寝てる」
「そーですね」
「何、分かってるんなら説明いらないじゃない」
「そうじゃねええええええ!!」
一見閑かなやりとりの後、フラッシュマンが耐え切れず盛大に突っ込んだ。
隣に寝転がるメタルマンはくすくすとマスクの奥で笑い、憤慨している青い弟機体を眺めている。
フラッシュマンの声のせいか、ばさ、と、そばの木の枝から小鳥が飛び去った。
メタルマンに振り返り、フラッシュマンが怒鳴る。
「なんでこんなとこにいるんだよ俺等!」
「なんでって、来たから」
「そーですねって、だから!!」
微妙に噛み合わない会話に、フラッシュマンがまた噛み付いた。
メタルマンが楽しそうにアイセンサを細める。
彼らがいるのは基地内のラボでもリビングでも屋上でも、況してや彼らの個別の部屋でもない。
屋内ではないが、しかしだからといってウッドマンが世話をする、基地まわりの森ではない。
頭上の空は青く晴れ渡り白い雲がかすかに流れ、風は穏やかに優しく吹いている。
ほころびはじめた花々は甘いかおりを漂わせ、深緑のさわやかな色合いが、冬の寒さに
枯れていた自然に鮮やかさを添えていた。
見慣れない、フラッシュマンの知らない場所。
─────彼らは基地から離れたとある森に来ていた。
「あーもー!」
あぐらをかいて膝に肘をつき、その手に顎を乗せてフラッシュマンはため息を吐いた。
唸るように愚痴を零す。
「いっきなり出掛けるっつーから来てみたら、何事だよこれ」
「んー? お花見したくって」
お前とさ。
のんびりと言いながら、地面に敷いたシートの上、メタルマンがころりと寝返りを打つ。
傍には梅と桃の花が咲き誇り、風に小さく花びらを散らしていた。少し離れたところでは
さくらんぼの花が満開になっており、低地の方には菜の花が彩りを添えている。
どこかに沈丁花が咲いているのだろう、特有の甘い香りが漂っていた。
漸く春めいてきたといえる季節。
座ったままの青を見上げ、そばのE缶を指でつついた。
「俺らさぁ、ここんとこ緊急メンテや代打任務とかでオフ潰れてばっかだったからさぁ、
博士が休みやるから行ってこいって仰られてね」
「それで博士もつれて全員で行くってならないあたり珍しいな。バグったか?」
「酷いなぁ。お前とお花見したいって言ったじゃん」
フラッシュマンの物珍しげな視線に眉を下げ、メタルマンはほら、と続ける。
「基地にいてもみんなで出掛けても、大抵は俺らが世話係りになっちゃうから、
お前ら二人で行けって博士が仰って下さったんだよ」
「あー……」
思わずフラッシュマンから納得の声が上がった。博士の言葉にごもっとも、と回路で拍手をする。